第10話

現実(あほの坂田)
331
2018/04/06 13:46
 ジリリリリリリリリリリリリリリ!!
坂田
…ゔーん…ぁぁ…あ゛ぁぁ!うるせぇー!!
 朝、なかなか起きられない俺にはキツイ音だ。うるさい目覚まし時計のボタンを押し、奴を黙らせた。
坂田
ん゛ー!…起きるか!
 時刻は7時半になる前だった。「みんな」と約束している時間は8時。みんなの中では、俺が遅刻常習犯だから急いで用意しなくちゃなぁ…。また、うらさんに怒られる…(汗)
素早く制服に着替え、朝ごはんを終えて、歯を磨いている時だった。
坂田
(…本当に、現実(ここ)に戻ってきたんだ。)
 いつもと変わらないことをしてたせいか、全く気が付かなかった。昨日見た夢を…あの女の子のことも…。
坂田
「夢」にしては、リアルだったなぁ…。
身支度を整え終わると、約束の場所に向かって走った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

うらた
おーい!坂田!
坂田
うらた
坂田!
坂田
うおぉい?!Σ(゚∀゚ノ)ノびっくりしたぁ〜…!急に呼ばないでよ〜うらたさ〜ん!
うらた
いやいやいや!さっきから、ずっっっと呼んでたし?!お前、大丈夫か?!
坂田
え?!まじか?!す、すみませんでした…(汗)
「本当か?」と、うらたさんが、心配そうな目で見ていたが「大丈夫」と返事をした。けど、うらたさんは納得がいかないのか、たまに俺の顔色をうかがいながら、売店で買った牛乳を飲んでいた。
 彼の名前は「うらた」。俺は「うらたさん」って呼んでる。真面目で優しいから、ちょっとからかったら面白い(笑)俺と同い年でクラスも一緒だから、いつも一緒にいる。
そらる
はぁー…疲れた。
うらた
お!そらるさん、やっと来ましたね。
そらる
売店が、混んでたんだよ(汗)
坂田
アハハ(笑)お疲れ様です!
 遅刻して来た彼は、「そらる」さん!俺らの一個上の学年で、マイペースだけど、すごく頼りになる先輩。
 そらるさんは、俺の隣に座った。ここは屋上で、よく俺達が昼飯を食べるのに利用する場所だ。この2人が、『今』一緒にいるメンバー。そらるさんとは、学年は違うけど、先輩後輩関係なく仲良くさせてもらっている。
坂田
…あの、そらるさん。『まふ』は、どうでしたか?
 そらるさんは、パンを口にしようとしていたが、その動きが止まった。うらたさんの動きも同時に止まった。2人とも、『まふ』という言葉に反応を示したみたいだった。俺とうらたさんの視線は、そらるさんに注がれた。2,3分ぐらいだっただろうか…沈黙を破ったのは、そらるさんだった。
そらる
昨日、アイツの家に行ったけど、元気にしてたよ。
 そう言うと、そらるさんは、黙々とパンを食べ始めた。俺とうらたさんは、互いに顔を合わせたが、何も話すことなく、俺達も残りの昼飯を食べた。きっと、そらるさんは、俺達に心配をかけさせないように言ったのだろう。そらるさんの気配りを無駄にしないように、俺は笑った。
坂田
そうですか!いやぁ〜良かったです!!早く学校に戻ってきてくれたらいいんすけどね!
 うらたさんも便乗するように「そうだな。」と、呟いた。そらるさんは、薄っすらと微笑んだ。
 昼飯を食べ終わった俺達は、屋上から出て、教室に戻った。俺とうらたさんは2階で、そらるさんは3階に教室があるから、俺達は、階段の踊り場で別れた。
坂田
…『まふ』のこと、どう思う?
そらるさんが、階段を上がったのを確認してから、うらたさんに聞いてみた。きっと、うらたさんも、さっきのそらるさんの言葉で、安心できていないと思ったからだ。うらたさんは、少し考えてから、俺の顔を見た。
うらた
何か、あった可能性が高いけど、まふのことを一番わかってるのは、そらるさんだ。俺だって、まふに会いたいけど、まふが気にするだろうから、そらるさんは俺達に来ないように言ったんだろ。今は、そらるさんを信じるしかない。
坂田
…そうだよね。
 「まふ」は、俺達3人と一緒に友達だ。俺と同じ2年生だけど、努力家で頭もいいし「本当に同じ学年か?」って聞きたくなるほど、考え方が、大人びている。(1年生と間違われる俺とは、大違い☆)←※坂田さん、坂田さんのリスナーさんごめんなさい。(土下座)※
 けど、まふは、ある日を境に学校へ来なくなった。それから、まふとは一度も会ってない。それは、うらたさんも同じだった。本当は、そらるさんと一緒に、まふの家にいきたい。けど、アイツは優しいから、俺達が行ったら、「余計な心配をさせて、ごめんね」って謝ってくるに違いない。そらるさんは、よく、まふの面倒を見てるから、そらるさんなら、まふも変に気を遣うなんてしないだろう。だから、俺とうらたさんは、そらるさんにまふを託すことにしたんだ。それで、帰ってきたら何事もなく、まふに笑顔で「お帰り」って言うんだ。それが、今の俺の『夢』かな?
坂田
あ!ねぇねぇ!うらたさん!俺、昨日、すっっっげぇ夢見たの✨
うらた
坂田に、昨日の夢を思い出せるほどの記憶力があったんだな…。
坂田
ねぇ馬鹿にしてる?(黒笑)
うらた
で、どんな夢?
坂田
それがさぁー!
 昨日の夢に出てきた、ゲームの世界のような不思議な場所や、植物。そして、そこで出会った女の子のこと…。全てをうらたさんに話した。
坂田
凄くない?!凄くない?!✨
うらた
いやいやいやいや、その女の子は、「自分以外の人間が出てくることはなかった」って言ったんだろ?仮に、その女の子のことが、本当にだとして、何でお前が出てんの?!というか、どんな夢だよ(苦笑)坂田が魔法使いって…(笑)
坂田
さぁ〜?いやー!本当に魔法使えてびっくりした〜!(笑)あと、女の子もなんだかんだ色々と優しかったんだよなぁ…。今日、会えたらお礼したいんだけどさ…。
うらた
都合よく夢の続きを見れるってあんまりないんじゃ…?
坂田
ですよねー!!(泣)
うらた
あ!次、移動教室!
坂田
あ…あ!ちょ!うらたさん速くない?!待ってよー!!
 急いで教室に向かううらたさんを追いかけた。そりゃあ…都合よく、自分が見たい夢を見れるとは思ってないけどさぁ…(汗)
坂田
…会えたらいいな…(ボソッ)
 そう呟くと、俺は教室に向かって猛スピードで廊下を走った。
〜〜〜
※うらたさん、まふまふさん、坂田さんは同い年設定ですが、まふまふさんや坂田さんが、うらたさんと話すときは、たまに敬語が混じったり、呼び方がさん付けだったりします※

プリ小説オーディオドラマ