ジリリリリリリリリリリリリリリ!!
朝、なかなか起きられない俺にはキツイ音だ。うるさい目覚まし時計のボタンを押し、奴を黙らせた。
時刻は7時半になる前だった。「みんな」と約束している時間は8時。みんなの中では、俺が遅刻常習犯だから急いで用意しなくちゃなぁ…。また、うらさんに怒られる…(汗)
素早く制服に着替え、朝ごはんを終えて、歯を磨いている時だった。
いつもと変わらないことをしてたせいか、全く気が付かなかった。昨日見た夢を…あの女の子のことも…。
身支度を整え終わると、約束の場所に向かって走った。
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「本当か?」と、うらたさんが、心配そうな目で見ていたが「大丈夫」と返事をした。けど、うらたさんは納得がいかないのか、たまに俺の顔色をうかがいながら、売店で買った牛乳を飲んでいた。
彼の名前は「うらた」。俺は「うらたさん」って呼んでる。真面目で優しいから、ちょっとからかったら面白い(笑)俺と同い年でクラスも一緒だから、いつも一緒にいる。
遅刻して来た彼は、「そらる」さん!俺らの一個上の学年で、マイペースだけど、すごく頼りになる先輩。
そらるさんは、俺の隣に座った。ここは屋上で、よく俺達が昼飯を食べるのに利用する場所だ。この2人が、『今』一緒にいるメンバー。そらるさんとは、学年は違うけど、先輩後輩関係なく仲良くさせてもらっている。
そらるさんは、パンを口にしようとしていたが、その動きが止まった。うらたさんの動きも同時に止まった。2人とも、『まふ』という言葉に反応を示したみたいだった。俺とうらたさんの視線は、そらるさんに注がれた。2,3分ぐらいだっただろうか…沈黙を破ったのは、そらるさんだった。
そう言うと、そらるさんは、黙々とパンを食べ始めた。俺とうらたさんは、互いに顔を合わせたが、何も話すことなく、俺達も残りの昼飯を食べた。きっと、そらるさんは、俺達に心配をかけさせないように言ったのだろう。そらるさんの気配りを無駄にしないように、俺は笑った。
うらたさんも便乗するように「そうだな。」と、呟いた。そらるさんは、薄っすらと微笑んだ。
昼飯を食べ終わった俺達は、屋上から出て、教室に戻った。俺とうらたさんは2階で、そらるさんは3階に教室があるから、俺達は、階段の踊り場で別れた。
そらるさんが、階段を上がったのを確認してから、うらたさんに聞いてみた。きっと、うらたさんも、さっきのそらるさんの言葉で、安心できていないと思ったからだ。うらたさんは、少し考えてから、俺の顔を見た。
「まふ」は、俺達3人と一緒に友達だ。俺と同じ2年生だけど、努力家で頭もいいし「本当に同じ学年か?」って聞きたくなるほど、考え方が、大人びている。(1年生と間違われる俺とは、大違い☆)←※坂田さん、坂田さんのリスナーさんごめんなさい。(土下座)※
けど、まふは、ある日を境に学校へ来なくなった。それから、まふとは一度も会ってない。それは、うらたさんも同じだった。本当は、そらるさんと一緒に、まふの家にいきたい。けど、アイツは優しいから、俺達が行ったら、「余計な心配をさせて、ごめんね」って謝ってくるに違いない。そらるさんは、よく、まふの面倒を見てるから、そらるさんなら、まふも変に気を遣うなんてしないだろう。だから、俺とうらたさんは、そらるさんにまふを託すことにしたんだ。それで、帰ってきたら何事もなく、まふに笑顔で「お帰り」って言うんだ。それが、今の俺の『夢』かな?
昨日の夢に出てきた、ゲームの世界のような不思議な場所や、植物。そして、そこで出会った女の子のこと…。全てをうらたさんに話した。
急いで教室に向かううらたさんを追いかけた。そりゃあ…都合よく、自分が見たい夢を見れるとは思ってないけどさぁ…(汗)
そう呟くと、俺は教室に向かって猛スピードで廊下を走った。
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※うらたさん、まふまふさん、坂田さんは同い年設定ですが、まふまふさんや坂田さんが、うらたさんと話すときは、たまに敬語が混じったり、呼び方がさん付けだったりします※
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。