僕が歩いてる道に赤い髪色をした少年が、何故か僕の目の前で尻もちをついていた。何故だ。ここは、僕の夢の中(のはず)…。何で、知らない人が僕の目の前に現れたの?
落ち着けあなた。とりあえず、やることは分かってるんだ。
赤髪の少年に話しかけられた僕は、気付けば…猛ダッシュで逃げていた。いや、僕は正しいと思う。だって、「知らない人について行ってはいけない」と先生だって言ってた。先生だって…
後ろから大きな声がしたので、振り向くと、さっきの赤髪の少年が、僕を追いかけてきていた。いやいやいや!速すぎない?!思わず、顔に出ちゃったよ?!
いや、今してるじゃないですか。
赤髪の少年がそう叫ぶと、僕の目の前に巨大な壁が現れた。
何ともアホっぽい第一声をあげたと同時に、僕は、壁に激突した。がむしゃらになって走っていた僕は、立ち止まることが出来なかった。
僕は、顔面を押さえながら、怒りを抑えながら、赤髪の少年に尋ねた。常に、無表情な僕が、怒りを露わにしようとしたのは初めてだ。
僕は初めて、赤髪の少年の姿をまじまじと見つめた。白いシャツに、赤いリボンを首回りにしていて、黒い長いマントには綺麗な赤い花の刺繍、そして特徴的な先が尖った帽子に、ズボンのポケットに刺さっているいる棒状のようなもの…。
赤髪の少年は、目を輝かせ、自身のマントを両手で掴んでバタバタさせてみたり、杖を手にしてブンブンと振り回していた。何か、初めてのおもちゃにワクワクしている子犬に見えてきた。
坂田という少年は、僕に手を差し出した。これは握手を求めているのだろうか?だとしたら…
僕は、彼の要求を拒否した。何故かは分からない。けど、自然と言葉が頭の中に浮かび、口に出していた。彼は、一瞬驚いた顔をしたが、すぐにニカッと笑った。
何でだろう。彼が、叱られてシュンっと悲しそうにしている子犬に見える。握手を断られたのがそんなにショックだったのか?少しだけ可哀想だと思った僕は、ウェストポーチから手袋を取り出し、身につけた。
僕は、彼に手を差し出した。ちょっと、上から目線だったかな?とも思ったが、彼は目をキラキラさせ、僕の手をギュッと握り、上下にブンブンと揺らした。
何で、そんなに嬉しそうなのかは分からないけど、良かった。って、あれ?
そんな僕の独り言は、彼のテンションMAXな叫びによって掻き消された。
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主人公のキャラ設定が曖昧になってきました
( Д ) ゚ ゚ェェェェェェェェェェ‼
無口で無愛想!ここ重要∠( ゚д゚)/
はい、すいません。
by桐生彷迦
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。