第4話

4話
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2021/08/21 04:36
よそ行きの服を着せられ、化粧も薄くだがされた。

車が発車する。
夏目 湊
夏目 湊
…これ何しに行くの。
湊の父
着けばわかる。
夏目 湊
夏目 湊
(先に知りたいから聞いてんだよ…)
とは思ったが、運転しているのは父であり
下手なことを言ってキレられて事故ったり、
無理やり降ろされても嫌なので黙ることにした。
行き先も告げられず、数十分もの間車に揺られ続けた。
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夏目 湊
夏目 湊
(完全に酔った…気持ち悪い…)
湊の父
ここだ。
降りなさい。
夏目 湊
夏目 湊
はい…
連れてこられたのは綺麗な料亭だった。
言われるがままに中に入ると個室に案内された。
そこには1人の青年と、その両親らしき人がいた。
夏目 湊
夏目 湊
…?
湊の母
湊、真ん中に座りなさい
夏目 湊
夏目 湊
は、はい…?
夏目 湊
夏目 湊
(なんだこれ…)
湊の父
遅れてしまい大変申し訳ありません
父がそう謝ると青年は軽く笑いながらこういった。
一ノ瀬 蓮
一ノ瀬 蓮
謝らなくていいですよ、夏目さん。
気にしてませんので。
湊の父
ありがとうございます…
年下に頭を下げている父を見るのは初めてだった
夏目 湊
夏目 湊
(どういう関係なのか…分からない…)
湊の父
こちら、私たちの娘の湊です。
一ノ瀬 蓮
一ノ瀬 蓮
はじめまして、湊さん。
僕は一ノ瀬蓮と言います。
これからよろしく。
夏目 湊
夏目 湊
え、あ…よろしくお願いします。
蓮の父
いや〜夏目さん。
今回はお話ありがとうございます。
蓮の母
でも…こんな不出来な息子が
娘さんと結婚して本当にいいんですか?
夏目 湊
夏目 湊
……え?
「結婚」という突如出てきた言葉に私は困惑した。
呆然としている間に話が勝手に進んでいく。
湊の母
いえいえ、こちらこそ
本当にいいんでしょうか…
蓮さんは開成高校に進学後、今は
東京大学に通われてるんでしょう?
湊の母
とてもじゃないけど、うちの娘が
釣り合うとは思えなくて…
蓮の母
あら、気にしなくていいんですよ。
もう家族になりますし…
それに、優秀だと伺っておりますよ?
湊の父
それはそれは…ありがとうございます…
そんな会話を聞いていて思い出した。
父が働いている会社のグループの名前…
夏目 湊
夏目 湊
(確か…一ノ瀬グループ…)
ということは、この人は社長。
父が敬語を使い、母がひたすら相手を褒めているのも
うなずける。
そして、内容から察するに私は社長の息子である
蓮という人と結婚させられるようだった。
夏目 湊
夏目 湊
(…ふざけるな。)
自分が昇進したいがために、娘を使うとは…

私にだって好きな人はいる。

それに、今婚約させられたら
東大を受けることも出来なくなるかもしれない。
夏目 湊
夏目 湊
(どうにかして断らないと…)
蓮の父
さて、そろそろ本人同士で
話したらどうかね?なあ、蓮。
一ノ瀬 蓮
一ノ瀬 蓮
ああ、そうですね。
湊の母
なら、私達も退出しましょうか。
湊の父
そうだな。
湊の父
おい、湊。
上手くやりなさい。
夏目 湊
夏目 湊
……
一ノ瀬 蓮
一ノ瀬 蓮
湊さん。
どうぞこちらに。
夏目 湊
夏目 湊
はい…
夏目 湊
夏目 湊
(この人には申し訳ないけど…
どうにかして破談にしなければ。)
夏目 湊
夏目 湊
(円満に破談するには…どうしたら…!)






(切るところ変で すみません!)

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