昨日の出来事を考えていたら一日があっという間に終わり私は夕日に照らされた道を歩き家に向かっていた。
ピコンッ
LINEの通知音が聞こえ、ゆりだと思って開くとスマホに表示されていた名前はゆりではなく元貴だった。
「LINEきた…やば、」
少し…いやだいぶ動揺したけど要件を確認するために意を決してLINEを開いてみる。
メンバーに…会う、!?メンバーが私に会いたがってる…!?
ミセスファンの私からしたら元貴と会うだけでも心臓が飛び出しそうなのにミセスの皆さんと会うなんて真面目に死んじゃう、
だが他のファンの事を考えると良い気持ちはしないだろう、そんな事を考えていたら返信するのが遅れてしまっていた。
でもそんな不安よりも見ず知らずの私を助けようとしてくれているメンバーさんの優しさが嬉しくて私の中に断る選択肢はなくすぐ元貴に返信をした。
返信を送るとすぐ既読が付き今から迎えに行くから住所教えてもらっても平気かと言われ住所を教えた。
しばらくして家のインターホンが鳴り家を出るとそこには元貴の姿があった。
「本当いきなり呼んじゃってごめんね」
「全然大丈夫です!!」
そう言うと元貴は微笑みながら家の前に停まっている車まで歩き、ささ乗ってと言いながら車のドアを開けてくれた。
本当に紳士だな、、この人
「お、お邪魔します、、??」
「ふはwwお邪魔しますってwそんなに緊張しなくていいからw」
推しの車だよ?!緊張しないわけがない、
「そういえばLINEの返信くるの遅かったけど本当は嫌だったかな?」
「いやむしろ嬉しかったです。でもファンの子のからしたら良い気持ちはしないよなって考えてたらお返事が遅くなってしまって…」
「あなたって本当に優しいよね。僕あなたのそういうところ好きだよ」
「んんっ!?ゴホゴホ」
突然の元貴からの好きという言葉に動揺して私は咳き込んでしまった。
え、?すき、、、?!
推しから面と向かって好きって言われた?!
「もうほんとあなたは可愛いねw」
「なっっ…!!」
女の子なら誰でも嬉しい可愛いという言葉なのにそれを大好きな元貴に言われて正気を保つのが精一杯だった。
そんな私を見透かしているかのように元貴は意地悪そうに耳元で可愛いよと囁いてきた。
「ちょっ、からかわないでくださいよ〜!!」
そう言うと元貴はごめんごめんといつもの笑顔で謝ってきた。
そんなことをしていたらあっという間に事務所に着き車を降りて元貴がみんなのいる部屋まで案内してくれた。
「そこの部屋にみんないるから」
「わ、わかりましたっ、」
緊張でドアの前で固まってる私を見て
「みんな怖くないしそんなに緊張しなくて平気よ。それに僕がついてるから」
そう言って私の頭をポンポンしてきた。
推しに頭ポンポンされたのと、ミセスのみんながこのドアの向こうにいる緊張でどうにもならない私を横目に元貴は部屋のドアを開けた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。