あなた『ありがとう』
駿佑『うん』
少し暗くなり始め、近くのコンビニでアイスを買ってくれた。
また海に戻って座り、アイスを食べる。
あなた『海ってさぁ、いつ見ても綺麗だよね』
駿佑『そうやな』
あなた『…』
私は道枝くんの横顔を見つめる。
やっぱり綺麗だ。
でも、触れてはいけないような。
薔薇みたい。
あなた『道枝くんは海好き?』
駿佑『うん』
なかなか彼の心に踏み込めない。
たまに悲しげな瞳をするのは何故?
今もそうだ。
駿佑『…なぁ』
あなた『ん?』
駿佑『…やっぱり何もない』
そうやってまた、私を期待させる。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!