謙杜side
謙杜『…』
こいつ、やっぱ綺麗な顔しとるな。
なんか、消えてしまいそうな。
駿佑『…ジロジロ見んな』
謙杜『はいはい』
喋ると勿体ないやつやな。
ほんま、あなたにしか優しくないんやから。
謙杜『…病気、大丈夫なん』
駿佑『…』
謙杜『…成功するやろ?』
駿佑『…多分』
謙杜『…』
そう言った道枝の顔は
切なそうでこっちまで辛くなった。
最初は恋のライバルで嫌いやったけど。
謙杜『…絶対成功しろよ』
駿佑『…なんやねん(笑)』
謙杜『あなたのためを思って言っただけやから』
駿佑『…当たり前やん』
少し、俺が思っていることだけど
やっぱり、あなたのため。
謙杜『…怖くないん』
駿佑『…怖いに決まってるやん』
そう言って道枝はため息をつく。
ほんまは、怖くて仕方ないんだって。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!