土曜日
今週は張り切って
仕事を頑張った
先輩からも同僚からも
とうとうおかしくなった
という目で見られたけど…
私はハッとして頭を振った
一般人の坂田さんと会うんだ
浦島坂田船の坂田さんを意識してはならぬ…
時間ははっきり指定されていなかったけど
午後から、とだけ言われていたので
軽く昼食を済ませ
ナチュラルメイクをし、
洋服を
ピコンッ
鏡の前で髪の毛を両手で持ち上げ
似合うか見ていると
ぎくっ
鋭い
持っていた髪を下ろし
そのまま前に流した
下はスカートに厚底
上は…
1番お気に入りの服を着た
そろそろ来るかな
ピーンポーン
あ、来た
ガチャ
あ、自分から入ってくるのね
マスクにメガネに黒っぽい服装
察し
珍しい、寝坊するなんて
戸締りをしっかりし、
うらくんの車に乗り込んだ
相変わらず綺麗にしてある
どこで会うのかも分からないし、
どんな話聞かれるかも分からない
信号で止まるなり助手席に座っていた私を見て
そう言った
なんとなく?
と言うと
身長ほしいと
ぼそっと呟いた
到着
地下の駐車場に止めるなり
スマホを取り出し誰かに連絡をし始めた
多分さか…坂田さんに
コンコン…
助手席側の戸をノックする音が
ぱっと外を見ると
志麻さんが手を振っていた
しばらく口を開けたまま呆然としていた
開いた口が塞がらないとはこの事
うらくんが助手席側の窓を開けた
まってほんと意味わかんない
そろそろ寿命かも
ちょっと前
お母さんの用事でおばさんのとこに行くと4人が
いたって言うこともあったけど
その時は靴があって
丁度廊下に出てきたセンラさんと
おばさんに呼ばれて出てきたうらくんに会った
なんで集まってたかは不明
お店に入って5分くらい
個室で静かで
隠れ家みたいなお店
キョロキョロしていると
軽く頷くと
いきなりの登場に驚いてうらくんのほうに
すごい勢いで近付いた
次々の大物の登場に頭を抱えた
尊い
いつもより何だか怖かった
分かってるよ…そのぐらい
でも、まともに話したことも無くて
私はうらくんの従兄弟で
浦島坂田船crewで
坂田家で…
とにかくこの今の状況が幸せなの…
本題はあなたの事
と、話を進めた
すると3人が深く頷いた
すっと私の向かいに座り直した
真剣そのものだった
私のために…
私は坂田さんが話してくれるのを
静かに聞いた
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。