第8話

7(過去)🗯
1,324
2019/01/07 08:13
さかた
さかた
あなたちゃん足めっちゃ早いやんけ!!
自分
自分
短距離は好きだから!


その日は

鬼ごっこ、かくれんぼとか色々して遊んだ


3人だからすぐに終わっちゃうんだけど

2人とも楽しんでたし、俺も楽しかったからいいのかな…



話は

学校の事とか家での出来事とか


触れていいのか分からなかったけど

さかたくんがニコニコしながら話してくれたから

俺らも安心した


──

さかた
さかた
そや、僕歌うの好きやねん!


突然立ち上がってそういった

うらたぬき
うらたぬき
そ、そうなの!?

イメージとは違く驚いた
自分
自分
じゃあなんか歌ってみて!好きなやつ!
さかた
さかた
ええよ!ゴホンッ…では

スッ…


小柄な体から吐き出される声はいつもの無邪気な声では無く


キレイで思わず聞き入ってしまうような声


低音も高音も安定している


まるで別人のよう…


俺らはぽかんとした


歌い終えるとニコッと笑った

何も反応しない俺らに戸惑っているようにも見えたけれど

さかた
さかた
ひひ…やっぱり下手やんな…僕歌は好きやけど、うまく歌えれへんねん…聞かせてごめんな
自分
自分
ううん、そんなこと無いよ とっても上手だよ


そう言うと頭をかいて

少し恥ずかしそうにした


俺も歌うのは好きだけどこんなに上手くない

とても羨ましかった
うらたぬき
うらたぬき
さかたくん歌手なれるんじゃない?



するとさかたくんはぱっと顔を上げ

いつも以上に目をキラキラさせて言った
さかた
さかた
ほんと!?
うらたぬき
うらたぬき
う、うん 俺も歌うの好きだけど、声安定しないしそもそも自分の声苦手だし…
羨ましいよ


本当は歌手になりたいと思った事もあった

けれど、同級生の女子に



『よくそんな声で歌えるね』『上手くはないよね』



と言われた時から自信がなくなった


確かに自分の声少し苦手だった

でも、気にしないように

自分の好きなことに取り組んでた


なのに…


そう思っていると

さかた
さかた
僕、歌手になりたいんや!うらたくんのお陰で自信ついた!…そや、一緒に歌手ならへん!?
自分
自分
うらくんが歌手!かっこいい!絶対一番にファンになる!
うらたぬき
うらたぬき
え、あ、うん!良いよ、僕もさかたくんのお陰で自信ついた!頑張ろ!


こんな近くに俺と同じように悩んでる子がいた

そう思うと少し安心したし

なんだか元気になれた


──


時間が過ぎて2人でさかたくんを家まで送っていった


昨日までとは違ういい笑顔があった



今日はありがとうと家に戻って行こうとした時

突然あなたが口を開いた
自分
自分
あのさ!3人で約束しない?

約束?

あなたの発言に

俺らは顔を見合わせた
うらたぬき
うらたぬき
なんの?
自分
自分
2人が歌手になったら私を一番のファンにする事!それと、絶対コンビ組むこと!


あなたは小指をこちらに差し出した

思わず吹き出してしまった

なんで笑うの!と怒るあなたにごめんごめんと謝りながら

さかたくんと俺はあなたと指切りをした

自分
自分
指切りげんまん嘘ついたら…20点のテストおばさんにばーらすッ指切ったぁ!!
うらたぬき
うらたぬき
それ俺だけじゃん!?てか、ほんとやめて!


お母さんにバラされたらまずいけど

皆笑ってた

だからいいや

絶対歌手になってみせる





──




それから何ヶ月も過ぎた

俺らは相変わらず仲良しだったが


冬休みに入る前

終業式の日に


さかたくんは別の場所にまた引っ越していった


お父さんの実家に行くのだそう

俺もあなたも2日前に知らされた

俺はゲームのフレンド機能で友達になっているから

あまり寂しくは無かったけれど

あなたはほとんどゲー厶なんてやらないから

とても寂しがっていた



俺が中学生になってからあなたと

会う機会もなくなり

会っても昔みたいには話さなかった


あなたは小学校5年生くらいから友達とのトラブルが増え

精神的に不安定な時期があり

中2の時心因性記憶障害しんいんせいきおくしょうがいになった

俺は興味本位で調べたが

"精神的なストレス等によって記憶が失われてしまう障害。
通常、過去のことを思い出せない逆行性健忘ぎゃっこうせいけんぼうで、不快な体験や出来事、特定の人物を思い出せなくなる"

のだそう。



だから無理に過去の事は話さなくなった

今までの性格でも無くなってしまったし

さかたくんの事もはっきり覚えていないのだろう…


──

これで過去は終わりです!

一応書いた分は上げときます…!

障がいの事を取り入れましたが

不快に思われる方がいらっしゃったらすみません…

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