あなたは教室の前に立っていた。
自分でも分かっている、
この教室と廊下の境界線を越えたら始まってしまう、、、、
絶対にあってはならないこと。
いじめが。
あなた目線
ガラガラガラ
ゆっくりと教室の扉を開く。
今にも消えてしまいそうな声で呟くように言葉を発する。
挨拶を返してくれる人だって何人かは、いた。
昨日の”出来事”を知らない人は。
けれど、それもすぐになくなることだろう。
喋れる人がいるのはまだマシな方だろう。
教室の外にはなーくん、るぅとくんが立っている。
なーくんがるぅとくんに説明してくれたんだろう。
二人とも心配そうに、私のことを見ている。
私は席に着く。
こんなのすぐ分かる。
いじめ、、、机に落書きこんなの普通なことだろう。
案の定。
机には”暴言“、“落書き“たくさんの嫌がらせ。
私はすぐさま鞄からデジタルカメラを取り出す。
カシャッ
机の写真をとる。
私にはいくつもの“怒り”がたまっていく。
あぁ、そうだ。
こうして私へのいじめが広がっていくんだろう。
ガラガラ
教室から出る。
私は廊下を走りながら泣いた。
途中、唯一私を信じてくれている
“なーくん” “るぅとくん”が居た。
屋上のベンチに座る。
泣きながら、スマホを見る。
そこにはみんなで行った、カラオケ、イ〇ンその他色々の写真があった。
元の涙に上書きされるように、大粒の涙が重なっていく。
スマホは大粒の涙で濡れていた。
ガチャ
屋上の扉が開く。
そこには事実を話していない、四人の姿があった。
さとみくんが近づいてくる。
ジェルくんは優しく聞いてくる。
ジェルくんがあんなに優しい声で聞いてくるのに、私はあんなに冷たい態度をとってしまう自分が情けない。
ころんくんが近づく。
ガシッ
胸ぐらをころんくんに捕まれる。
シャツを掴んでる手が強まる。
ころんくんがシャツを掴んでる手を緩める。
スッ
あなたはスマホを取り出し、ある動画を見せる。
動画再生終了
教室の前
内心泣きたい。
皆が、皆が、私を信じてくれたのに。
私はなんであんな態度を……
本当に情けない。
涙をこらえて、なーくん、るぅとくんとは
話している。
少し間が空いてしまっていたようだ。
私は笑顔で返事を返す。
少しひきつった笑顔になってしまっただろう。
けれど、
私は、
私の見方をしてくれる人がいる限り、泣かない。泣きたくない。
なんて頼もしいんだろう。この二人は。
泣かないって思ってるのに泣いてしまいそうだよ。
ガラガラ
ここから始まっていくんだ。
本当の戦いが。
私には見方がいるんだ。
大丈夫。大丈夫。
~続く~
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。