第80話

紛失①
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2020/06/21 08:28
予鈴ギリギリで教室に入ってきた翔也。
かなり息を切らしている。
翔也「はぁ、はぁ…お、おはよ…」

あなた「おはよ。危なかったね」

翔也「寝坊した」

あなた「昨日は早起きしたのに」

翔也「うん、おかしいなあ」

あなた「かっこよかったのに」

翔也「…」
走ってきたからか、あなたが褒めたからかはわからないが、頬を赤くしている。
翔也「…朝からそういうのはちょっと心臓によくないです」
あなたが褒めたからだったようだ。








放課後。
帰る準備として鞄を机の上に置いて、教科書を入れようとした翔也は突然頭を抱えた。
翔也「ない…!」

あなた「何が?」

翔也「あなたにもらったキーホルダー!お揃いなのに!」
修学旅行でお互いに買ったお土産のキーホルダー。

あれからもう1年以上経つ。
あなた「あ〜…」

翔也「落としちゃったのかなあ…」

あなた「とりあえず職員室行ってみたら?落とし物入れにあるかもよ」

翔也「そうだね!ちょっと待ってて!」
翔也は走って教室を出ていく。




しかし、落とし物入れには入っておらず、担任の先生に聞く。
翔也「先生、あの、これくらいのうさぎのキーホルダー落としちゃったんですけど…届いてないですか?」

先生「俺は知らないなあ。ちょっと聞いてみるから待ってろ」

翔也「ありがとうございます」


職員室にずっといるのは申し訳なくて、廊下で先生を待つ。
先生「木全、悪いがそういうのは届いてないらしい」

翔也「そうですか…」

先生「すまないな」

翔也「いえ…さよなら…」

肩を落としたまま教室に戻った。



戻ってきた翔也は明らかに落ち込んでいて、あなたは優しく聞く。
あなた「どうだった?」

翔也「ないって…」

あなた「…ほら、行く途中で落としたかもしれないし、探しながら帰ろ!」

かなりショックを受けている翔也を慰めながら、教室を出る。




帰り道ではお互い慎重に探していて、

「ないなあ〜」

という言葉しか口にしなかった。



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