文化祭が昨日終わり、今日は片付け。
迷路のために組み立てたダンボールを破壊していくのだが、これがすごく楽しい。
みんなで盛り上がっていると、2組の常連木全君が遊びに来た。
翔也「楽しそ〜僕もやりたい!」
汐恩「いいけど、自分のクラスは?」
翔也「結構片付いたし僕もう飽きちゃった」
自由人木全君はそう言いながらダンボールを壊していく。
すごく楽しそう。
木全君を見ていると自然と笑顔になれる。
結菜「あなた〜ちょっといい?」
結菜に呼ばれて行こうとすると、足元にあったダンボールでバランスを崩し転んでしまった。
あなた「いった…」
近くにいた木全君がこっちに来た。
翔也「あはは、あなたさんってドジだね」
恥ずかしい。
思わず俯いて顔を隠す。
翔也「はい」
顔を上げると木全君が手を差し伸べてくれていた。
その手を掴んで立ち上がる。
翔也「気をつけてね」
あなた「ありがとう…」
木全君は私の服についたゴミを手で払ってくれた。
翔也「あ、これあげる」
木全君がくれたのは小さいチョコレートだった。
翔也「さっきクラスでもらったんだ。僕いっぱい食べたからあなたさんにおすそ分け」
あなた「ありがとう」
木全君はニコッと微笑んだ。
結菜「あなたー?」
翔也「古川さん呼んでるよ、じゃあね」
あなた「うん、じゃあ」
片付けが終わってみんなでゆっくりしている時、さっき木全君にもらったチョコレートを思い出す。
ずっとポケットに入れていたけど教室は冷房が効いていたため溶けてはいなかった。
包み紙をとって口に運ぶ。
木全君にもらったからか、いつもよりも甘くおいしかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。