第35話

聖夜
1,942
2020/05/31 04:55
私と翔也君のおかげか、汐恩は補習を免れた。



そして今日、クリスマスイブに2組のサッカー部6人でカラオケに来ている。

結菜を含めて半分が彼氏彼女持ちだけど、イブなら平気らしい。






冬休みに入り、翔也君に会えない。

会いたいな…なんて思ってしまう。


しばらくみんなで歌って盛り上がっていると、隣に座っていた汐恩に話しかけられた。
汐恩「なあ、翔也もカラオケいるんだって」

あなた「え?」

汐恩「1組のサッカー部とかその辺と来てるらしい」

あなた「そうなんだ」

汐恩「合流する?」

あなた「えっ」

汐恩「会いたいんだろ」

あなた「ま、まあ…」

汐恩「任せろ」
汐恩は翔也君にLINEしてみんなに話した。
汐恩「翔也とか1組のやつらもいるらしいから合流しよー」

「いいねぇー」
盛り上がるみんな。

あなた「結菜、純喜先輩に一応言ってね?」

結菜「心配しなくても純喜は信頼してくれてるし大丈夫だよ。それより木全君に会えるんだから、ちゃんと話しなよ!」

あなた「頑張る…」
しばらくすると翔也君たちが来た。
翔也「やっほ〜」
私たちの部屋はたまたま広かったため、翔也君たちが入ってもまだ余裕があった。


翔也君は汐恩の隣に座った。

近いようで遠いこの距離。

どうやったら話せるか悩んでいると汐恩が立ち上がった。
汐恩「飲み物取ってくるわ」
汐恩が席を外したことで私の隣には翔也君。
翔也「あなたさんやっほー」

あなた「やっほー」
好きな人と話しているのに落ち着いて話せるから翔也君は不思議だ。

しばらく喋っていると、汐恩が戻ってきた。

また離れちゃうなと思ったが、汐恩はこっちには座らずにドアに近い所に座った。
目が合うと笑顔の汐恩。

気をつかってくれたらしい。

優しい友だちを持った。






暗くなるのが最も早いこの時期。

あっという間に夜が近づき、解散した。

同じ路線は汐恩と翔也君だけだ。

が、汐恩は用事があると言って、今は翔也君と2人で歩いている。

会えないと思っていたのに、まさか2人きりになれるなんて思ってもみなかった。
翔也「冬休み何するのー?」

あなた「部活と勉強と…あとは暇かな笑」

翔也「僕もダンスあるけどだいたい暇。あ、勉強もしますよ?」

あなた「翔也君頭いいもんね」

翔也「そんなことないけど」

この時間がずっと続けばいいのに。
そんな私の希望は虚しく、もう駅が見えてきた。
翔也「暇な時さー、連絡していい?」

あなた「えっ、も、もちろんいいよ」

翔也「でも僕だいたい暇してるからいっぱいしちゃうよ?」

あなた「全然大丈夫!私も暇だし」

翔也「やった〜 汐恩とかあんまり相手してくれないんだよね」
少しスキップしながらそう言う翔也君は駅前を彩るイルミネーションに照らされている。


こんなに嬉しいクリスマスイブは初めてだ。






冬休み、楽しくなりそうな予感。

プリ小説オーディオドラマ