第46話

手紙②
1,865
2020/05/29 12:00
家に帰ってさっき翔也君にもらったお返しを開ける。









中身は…



マカロン!!


女子でもあんまり作らない気がする。

私も作ったことはない。


しかもすごくおいしかった。
何個も入っていたからひとつだけ食べて残りはとっておくことにした。

そして、一応袋の中を確認する。
やっぱり手紙は入っていなかった。

再び後悔の念に駆られる。
まあ、落ち込んでも仕方ない。

LINEを送ることにしよう。
あなた

マカロンおいしかった!
ありがとう!

木全翔也
いえいえ

すぐに返信が来た。


と思ったら、翔也君から電話がかかってきた。


えええ


とりあえず出なきゃ。
あなた「もしもし」

翔也「急にごめん、大丈夫?」

あなた「全然。どうしたの?」

翔也「あー、えっと…」
なぜか話すのを躊躇っている。

私はできるだけ優しい口調で言う。
あなた「何かあったの?」
翔也「あの、バレンタインに手紙くれたじゃないですか」
1ヶ月触れてこなかった話題。
あなた「…はい」

翔也「すごく嬉しくて戸惑っちゃって、何も言ってなかったんだけど」
そのせいでどれだけ悩んだことか。
翔也「僕ももっとあなたさんと話したいし、一緒に帰りたい、です…」

あなた「も、もちろん…」

翔也「よかったあ〜」

あなた「ありがとう」

翔也「こちらこそ!じゃあまた明日ね!」

あなた「また明日」
言い切ってスッキリしたのかさっきまで自信のなさそうな声が急に大きくなっていた。


電話が切れた後の3:26という表示を見て余韻に浸る。
返事が返ってきた。

しかもすごく嬉しい返事。
しばらくの間私はベッドにうつ伏せになってバタバタしていた。


ふと我に返って、この前あかり先輩から聞いた話を思い出した。




あかり「ホワイトデーのお返しってね、そのお菓子によって意味があるんだよ。クッキーだとお友だち、キャンディだと好きな人、とかね」




マカロンってなんだろ…
気になってネットで調べてみると。



特別な人



え…
いやいや、翔也君のことだからきっと何も考えていない。

食べたかったからって言ってたし。


でもいつかは…




その夜は眠れなかった。

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