第33話

距離②
1,910
2020/05/24 07:00
フードコートでやることになった。



四人席に汐恩と木全君が隣で座り、どっちの正面に座るかすごく悩んだけど、緊張が勝って汐恩の正面に座った。




木全君がいれば充分じゃないかと思ったけど、汐恩はちゃんと私と木全君両方に聞いてくるからそんな心配はいらなかった。



数学の問題を解いているとわからないところがあった。
問題と解説を見比べるがいくら考えても理解できない。

汐恩…は無理か。
勇気を出して木全君に聞く。
あなた「あの、木全君」

翔也「はい」

あなた「ここがどうしてもわからなくて…」

翔也「どれ?あっちょっと待って」
木全君が席を立って私の隣に移動してきた。

一気に体温が上昇する。
同じ問題を見ているからすごく距離が近い。
ここはね… と言ってノートに書いていく木全君の横顔が綺麗で思わず見とれてしまう。
翔也「おーい、聞いてる?」

あなた「あっごめん」
木全君の説明はわかりやすかった。
翔也「…で、こうなる」

あなた「なるほど!わかった、ありがとう」

翔也「またわかんないとこあったら聞いてね」


木全君が斜め前に戻った。






たったの数十センチなのにすごく遠くに感じる私は、欲張りなのかもしれない。

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