第42話

一番⑤
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2020/05/27 12:00
夜、今日もらったチョコを食べようと思ってテーブルにもらったものを全て並べてみる。
クラスの女子7人、後輩2人、咲良、そしてあなたさん。

こんなにもらったのは初めてだ。
でも昼はクラスの女子のやつを少し食べたから、夜はひとつだけにしよう。
僕は迷わずあなたさんのを選んだ。

なんとなく今日中にお礼と感想のLINEをしたかった。
ラッピングを開けるとかわいくデコレーションされたカップケーキが入っていた。

女の子って器用だなあ。
一口食べると、すごくおいしくてすぐにLINEをした。
木全翔也
見た目もかわいいし、すごいおいしい!
木全翔也
ありがとう!
あなた

ほんと?よかった


スタンプを送信してまた食べ始める。
本当においしくてあっという間に食べ終わった。


袋を片付けようとしたら中に何かが入っているのが見えた。
手紙?
小さい手紙を開くと
「これからもたくさん話したり一緒に帰ったりしたいです。」


え…


そこにちょうど食器洗いを終えたお母さんが来た。

母「翔也顔赤いよ?大丈夫?」

翔也「うん… だい、じょうぶ…」

僕は袋に手紙を入れ、それを持って急いでリビングを出た。

階段を駆け上がって部屋に入り、ドアを勢いよく閉める。

そして部屋のベッドに寝転がった。


僕、顔赤くなっていたのか…



別に告白されたわけじゃない。


ラブレターをもらったことだってある。


なのに、今までもらった手紙の中で一番嬉しくて。




落ち着いて手紙のお礼を言うことも、大好きなゲームをすることもできなかった。





もしかして…?








自分の気持ちを自覚したいような、




自覚したくないような。

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