夜、今日もらったチョコを食べようと思ってテーブルにもらったものを全て並べてみる。
クラスの女子7人、後輩2人、咲良、そしてあなたさん。
こんなにもらったのは初めてだ。
でも昼はクラスの女子のやつを少し食べたから、夜はひとつだけにしよう。
僕は迷わずあなたさんのを選んだ。
なんとなく今日中にお礼と感想のLINEをしたかった。
ラッピングを開けるとかわいくデコレーションされたカップケーキが入っていた。
女の子って器用だなあ。
一口食べると、すごくおいしくてすぐにLINEをした。
スタンプを送信してまた食べ始める。
本当においしくてあっという間に食べ終わった。
袋を片付けようとしたら中に何かが入っているのが見えた。
手紙?
小さい手紙を開くと
「これからもたくさん話したり一緒に帰ったりしたいです。」
え…
そこにちょうど食器洗いを終えたお母さんが来た。
母「翔也顔赤いよ?大丈夫?」
翔也「うん… だい、じょうぶ…」
僕は袋に手紙を入れ、それを持って急いでリビングを出た。
階段を駆け上がって部屋に入り、ドアを勢いよく閉める。
そして部屋のベッドに寝転がった。
僕、顔赤くなっていたのか…
別に告白されたわけじゃない。
ラブレターをもらったことだってある。
なのに、今までもらった手紙の中で一番嬉しくて。
落ち着いて手紙のお礼を言うことも、大好きなゲームをすることもできなかった。
もしかして…?
自分の気持ちを自覚したいような、
自覚したくないような。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。