第90話

初雪④
1,806
2020/07/03 11:51


結菜「あなた!おはよ!」

あなた「おはよう」

結菜「…何かあった?」

あなた「え?」

結菜「元気ないよ」

あなた「うん…落ち着いたら聞いて?」

結菜「わかった」
こういう時に無理に聞いてこないのが結菜の優しいところだ。



宇田「桧山さん、おはよー」

あなた「おはよう」
昨日さー、と宇田君が話し始めたところで翔也が来た。
宇田「翔也おはよー」

あなた「お、おはよう…」

翔也「おはよ…」
明らかに気まずい。

そんな私たちの雰囲気を察して宇田君もそれ以上話すのをやめた。


中学の頃を思い出す。

当時付き合っていた人と気まずくなった時、待ってました と言うようにやたらと話しかけてくる人がいた。


それに比べて宇田君はかなり大人だ。

高校生だからか。






一言も話さないまま昼休みになる。

この雰囲気のまま4人でお昼を食べるなんて、他の2人に迷惑をかけてしまう。
私は授業が終わった瞬間に弁当を持って、遠くの結菜の席に行った。
あなた「結菜、今日は2人で食べない?」

結菜「…うん」
結菜と2人で食べる。

翔也は汐恩と2人で食べているようだ。


チラッと見ると、バッチリ目が合ってしまい、慌てて逸らした。
そんな私を見た結菜は。

結菜「何があったかはわからないけど、早く仲直りしなよ?」

あなた「うん…」







5時間目、英語の授業。
こういう時に限って普段使わないテキストを使い

私はそれを忘れてきた。
困った。

翔也に見せてもらうべきか

宇田君に見せてもらうべきか。

悩んでいる私を見て、翔也は何も言わずに机をくっつけてくれる。
あなた「あ、ありがとう…」




全く集中できないまま、授業は残り5分。

突然肩をつつかれた。
顔を上げると、翔也は耳元に近づいてきて囁く。
翔也「今日2人で帰ろ」

私は無言で頷いた。


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