すごい人…
今日は翔也君のダンスの大会。
結菜と汐恩と3人で見に来た。
あなた「こういうの来たことない…」
色々なグループが次々に出てきて、個性的なパフォーマンスをする。
すごいなあ。
みんなかっこいい。
結菜「次木全君だよ」
翔也君が出てくる。
文化祭の時も見たけれど、その時とは全く違う。
かっこいい衣装に身を包み、オーラを感じる。
あなた「かっこいい…」
曲が始まってもいないのについ口に出してしまった。
立ち位置について曲が始まる。
言葉が出なくなった。
翔也君の他に6人いるのに、私の目には翔也君しか映っていない。
あっという間に終わってしまった。
みんな礼をしてステージを降りていく。
私ずっと余韻に浸っていた。
なんであんなにかっこいいんだろう。
これだから翔也君の沼から抜け出せない。
終わったあと、翔也君が私たちの所へ来た。
翔也「めっちゃ緊張したあ…」
結菜「木全君すごいね。今日はめっちゃ大人っぽかった」
汐恩「ギャップだな」
翔也「えへへっありがとう」
結菜「あなたも何か言ったら?」
あなた「うん…」
翔也君を見て無意識のうちに出た言葉は。
あなた「好きだなぁ…」
翔也君の顔がみるみるうちに赤く染まる。
私も自分の発した言葉の大変さに気づく。
あなた「え…今なんて言った…?」
翔也「その…す、好きって…」
翔也君に負けないくらい顔が真っ赤になる。
あなた「あ、いや、その…ダ、ダンス! ダンスが好きっていう意味…です…」
自分で言っておいてすこく言い訳がましい。
翔也「あ、ありがとう…ございます…」
たまらず結菜の後ろに隠れる。
結菜「私も木全君のダンスすごい好きだった!」
結菜がすかさずフォローを入れてくれる。
翔也「あ、ありがとう!」
とてもこの場には居られない。
結菜「私たち用事あるから帰るね!木全君おつかれさま!」
翔也「あ、うん、来てくれてありがとう」
誰にも聞こえないくらい小さい声で私もお疲れ様と言い、結菜と早足でその場を去った。
駅について結菜とカフェに入る。
あなた「どうしよう…」
結菜「なかなか大胆なこと言ったね」
あなた「無意識…」
結菜「まあ大丈夫だって」
あなた「気まずくなるかなあ…」
結菜「木全君なら普通に話してくれると思うけど。それに、逆に意識してもらえるかもよ」
あなた「うぅ…」
一方、あなたたちが帰った後
翔也「汐恩…俺ダンスやっててよかった」
汐恩「よかったな」
翔也「でも恥ずかしくて喋れないかも…」
汐恩「それはあなたの方が気にするから普通に話せよ」
翔也「うん…ああ〜やばい…」
汐恩「顔キモいぞ」
翔也「ひどい!キモいはやめて!」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。