第12話

決別
2,203
2020/05/10 12:00
次の日
学校に着くともう汐恩がいた。
私は教室の入り口で深呼吸をして汐恩の元へ向かう。
あなた「汐恩、今日部活終わったあと話したいんだけど大丈夫?」

汐恩「うん」

あなた「じゃあそういうことで」
よかった。

ちゃんと言えた。




昼休み
私は隣のクラスを覗いた。
あ、いたいた。

友だちと楽しそうにお弁当を食べている。
私は近くにいた友だちに木全君を呼んでもらって、廊下で待つ。
翔也「あなたさん」

あなた「木全君、ご飯食べてる時にごめんね」

翔也「ううん大丈夫」

あなた「これ、昨日はありがとう」

翔也「あーいえいえ」
私は昨日貸してもらったハンカチを返した。
あなた「今日部活が終わったあとちゃんと汐恩と話そうと思って」

翔也「付き合うの?」

あなた「ううん、断る」

翔也「そっか」
その時木全君が少し安心したように見えたのは気のせいだろうか。
あなた「木全君のおかげだからさ、何かお礼するね」

翔也「んー、僕役に立てたってこと?」

あなた「もちろん」

翔也「じゃあLINE交換したいな」

あなた「そんなことでいいの?」

翔也「うん、あなたさんのLINEがほしい」

あなた「わかった」

翔也「ありがとう」
私と木全君はLINEを交換してお互いの教室に戻った。







部活が終わって校門の前で汐恩を待つ。
汐恩「ごめん、待った?」

あなた「ううん、来てくれてありがとう」
あなた「昨日、慰めようとしてくれたのにひどいこと言ってごめん。汐恩は私の中でやっぱり友だちだから、付き合うのはできない」


汐恩「俺別に付き合ってなんて言ってないけど?」

あなた「えっじゃあ私の思い過ごしか…」
私は恥ずかしくなって俯いた。
その私の頭を汐恩がくしゃっと撫でた。

汐恩「好きだよ」
思いがけないその言葉に驚いて顔を上げた。
汐恩「でも俺諦めるから、これからも友だちでいてほしい」
汐恩の優しさに泣きそうになった。
汐恩「だからもうそんな顔すんなって」

あなた「ありがとう」

汐恩「ん」
汐恩は優しく笑った。
汐恩「帰るぞー」
私も笑顔になって汐恩の後を追いかけた。
汐恩「てかさ、翔也のこと好きだろ」

あなた「えっ」

汐恩「今日廊下で話してるの見たけど、わかりやすすぎ」

あなた「うそ…」

汐恩「まあ翔也鈍感だから気づいてないだろうけど」

あなた「それもそれできついなあ」

汐恩「がんばれ」

あなた「がんばるよー」

汐恩「俺という強力な味方がいるからいけるだろ」

あなた「…どうだろうね」
汐恩の後ろ姿は夕日に照らされていつもよりかっこよく見えた。

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