純喜「ちょっ結菜?」
純喜はベッドから起き上がって、いつの間にか泣いていた私を驚いたような目で見る。
そしてこっちに来て、たくましい体で私を包み込んでくれる。
純喜「どうした?」
結菜「昔のこと、思い出して…」
つまりながら言葉を発する私の背中を撫でながら相槌をうっている。
結菜「2年もずっと一緒にいた人と、急に離ればなれになるのに、寂しくないわけないじゃん…」
私が本音を言うと純喜はさらに私を強く抱きしめる。
結菜「純喜かっこいいし、優しいし、明るいから大学でモテるでしょ。大学なんか綺麗な人いっぱいいるだろうし、そしたら私いらなくなっちゃうじゃん」
そう言った瞬間、純喜は私の体を離して優しくキスをする。
そして私の頭を撫でながら見つめてくる。
純喜「まあ確かに、大学は綺麗な人いるかもしれへんけど、俺は結菜しか見てへんし、俺が大学でモテるとかそんなんどうでもええよ。
毎日LINEするし寂しくなったらいつでも電話してええから。忙しくなるかもしれへんけど、時間見つけて会いに来る」
結菜「…うん」
純喜「だから結菜は来年俺と同じ大学に入れるように勉強頑張って?」
結菜「頑張る」
私たちはお互いの気持ちを確認するように
もう一度唇を重ねた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。