咲良の家はお父さんが海外で単身赴任をしていて、お母さんは遅くまで仕事をしている。
なのに7歳と5歳の弟がいるから咲良への負担は尋常じゃない。
だから僕は時々咲良の家に行って弟たちの面倒を見たり家事を手伝ったりする。
今日はそんな予定はなくダンスに行こうとしていたんだけど、帰りに会った咲良の様子がおかしかったから公園で話を聞くことにした。
話によると、お父さんのもうすぐ帰ってくるという予定がなくなってしまったらしい。
咲良「翔也…」
咲良が僕の名前を言いながら僕の胸に顔をうずめてくるから、少し戸惑ったけど優しく抱きしめてあげた。
翔也「今日家行くよ」
咲良「でも、ダンスは?」
翔也「休むから大丈夫」
咲良「…ありがと」
スクールに連絡をして咲良の家に行った。
家のドアを開けると元気な弟たちが玄関まで来てくれた。
「姉ちゃんおかえりー!」
「しょーやだ!」
「今日来る日だっけ?」
翔也「あー、咲良がお腹痛くなっちゃって、だから今日は代わりにご飯作るね」
「姉ちゃん大丈夫?」
咲良「大丈夫だよ。2人とも翔也のお手伝いしてくれる?」
「わかった!」
弟たちとご飯を作って咲良以外の3人で食べる。
咲良は帰って部屋に入ってからずっと出てこない。
「姉ちゃん大丈夫なの?」
翔也「大丈夫だよ」
2人には心配をかけないように答えた。
ご飯を食べ終え、食器を洗って帰ろうとしたけど
「しょーや、遊ぼ!」
と2人が誘ってきたから少しだけ付き合うことにした。
しばらく遊んで帰ろうと思い、咲良の部屋に行った。
ノックをして部屋に入るとベッドにうつ伏せになった咲良がいた。
そばに寄って声をかける。
翔也「帰るね」
咲良「うん、ありがとう」
翔也「元気出して」
咲良「…うん」
部屋を出て、リビングにいる弟たちに話す。
翔也「咲良のこと頼んだよ」
「わかった!」
「しょーや、また遊ぼーね!」
僕は2人の頭を撫でて家を出た。
強がりだから普段はあまり本音を話してこないけど、今日はいつもと違ったから本当に心配だ。
咲良は僕の大切な人だから
いつでも助けるよ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。