第72話

玄弥さん
8,482
2020/06/08 13:12
スパーンッ!!
あなた
玄弥さんっ…!!
不死川玄弥
?!は、はい、?!
あなた
私、えと…そのっ…ごめんなさい!!
不死川玄弥
お、俺の方こそ…酷いこと言って悪かったよ…
あなた
そ、そんな!いいんです、私が力不足なあまりに呼吸も使えなくなってしまったんですし…
不死川玄弥
もう、体は大丈夫なのか…?
あなた
はい!私の体質上回復力が高く、完治しました!!
不死川玄弥
体質?
あなた
あ、聞いてくださいますか??
こうして、玄弥さんに私の鬼寄せの話を聞いてもらった。



縁側に2人腰掛けて、私はゆっくり語った。
不死川玄弥
…似てるぜ、俺たち…
あなた
…え?
不死川玄弥
俺は、鬼喰い
あなた
鬼喰い…?
不死川玄弥
鬼喰いってのは…
玄弥さんの"鬼喰い"の話を聞きながら似た者同士であると思わされた。



体内に鬼の血が大なり小なり流れていること、



己の存在が珍しいこと…
あなた
お互い大変ですね、
不死川玄弥
だな…
お互い黙りこくってしまったとき、猛烈な空腹感に苛まれ、腹の虫がなりそうになる。


そ、そういえば昨日の夜から何も食べていない…!!


空腹が顔に出たのか、玄弥さんはふっと笑って、




「ちょっと待っとけ」と私に一言声を掛け、屋敷の奥へ行った。
あなた
…?
不死川玄弥
お前、みたらし団子食えるか?
あなた
は、はい!
何やら包みを開ける音がしたと思いきや、お皿にみたらし団子を並べて玄弥さんは帰ってきた。
不死川玄弥
これしか無くて申し訳ねぇ
あなた
全然大丈夫です、!急にお邪魔した上にお菓子までいただいて…すいません////
不死川玄弥
この前のお詫びだ、気にするな。
あなた
ありがとうございますっ…!
「いただきます」と胸の前で小さく手を合わせ、みたらし団子をいただく。


一口食べて、今まで食べたことの無い甘さから思わず頬が落ちそうになる。


甘味を食べている時が1番至福のひととき…!!
あなた
ふふっ…とってもおいしいです…!!


顔を赤らめた玄弥さんは、私の言葉に




「そ、そうかよ…///」とぶっきらぼうに答えては、そっぽを向いてしまった。
不死川玄弥
…兄貴が、お前を妹にした気持ち…分かるかも知れねぇ。
あなた
ふぇ…?
口にお団子を詰めている私は思わず情けない声が漏れる。
不死川玄弥
俺が兄貴でも、お前を妹にしたかもなと思って…
あなた
ほ、ほんとですか…?
不死川玄弥
おう。
不死川玄弥
だからよ…
あなた
はい、?
不死川玄弥
しばらく兄貴のこと頼むわ、妹。
私の頭に手を置いて、玄弥さんは撫で回す。
あなた
…はいっ!!
なんだか私は照れくさいような、嬉しいような、不思議な気持ちに包まれた。

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