スパーンッ!!
こうして、玄弥さんに私の鬼寄せの話を聞いてもらった。
縁側に2人腰掛けて、私はゆっくり語った。
玄弥さんの"鬼喰い"の話を聞きながら似た者同士であると思わされた。
体内に鬼の血が大なり小なり流れていること、
己の存在が珍しいこと…
お互い黙りこくってしまったとき、猛烈な空腹感に苛まれ、腹の虫がなりそうになる。
そ、そういえば昨日の夜から何も食べていない…!!
空腹が顔に出たのか、玄弥さんはふっと笑って、
「ちょっと待っとけ」と私に一言声を掛け、屋敷の奥へ行った。
何やら包みを開ける音がしたと思いきや、お皿にみたらし団子を並べて玄弥さんは帰ってきた。
「いただきます」と胸の前で小さく手を合わせ、みたらし団子をいただく。
一口食べて、今まで食べたことの無い甘さから思わず頬が落ちそうになる。
甘味を食べている時が1番至福のひととき…!!
顔を赤らめた玄弥さんは、私の言葉に
「そ、そうかよ…///」とぶっきらぼうに答えては、そっぽを向いてしまった。
口にお団子を詰めている私は思わず情けない声が漏れる。
私の頭に手を置いて、玄弥さんは撫で回す。
なんだか私は照れくさいような、嬉しいような、不思議な気持ちに包まれた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!