あなたside
ベッドで寝ているそらるさんへと声をかける。
そらるさんにハグをされ、そのままベッドへと倒れこんでしまった。
後ろから私を抱き締めているそらるさんの腕が強くなる。
そらるさんが私の背中にグリグリと頭をつける。
背中には濡れたような感覚。
………そらるさんの涙……?
私、そらるさんの事不安にさせちゃってたんだ…
人がせっかく相談しようとしたのにこの人は…
なんて思いながら覚悟を決める。
そらるさんが起きたらまふ君との約束の事を言おう。
そう自分に言い聞かせて息を整える。
そらるさんが起きるのは大体いつも5時頃だ。
それまでに、心の準備をしておかないと……
…………………………
午後5時。
予想通りそらるさんが起きてきた。
そう言って目の前の椅子を指す。
そらるさんも何かを悟ったのか何も聞かずに椅子に座ってくれた。
そこからは約束の事。
昨日再開した時にその事を思い出した事。
全部を話した。
私が話している間そらるさんは
何も言わずに真剣に話を聞いてくれた。
『ない』と言いたいはずなのに言葉が出てこない。
私がまふ君に心揺らいでいるのは事実だから。
そらるさんの話は、
『私が望むならきっぱりと別れる』という風に捉えられた。
そらるさんが口をつぐむ。
フラフラと玄関に向かって歩く。
そらるさんが何か言い切る前にドアを閉める。
コンビニに行くなんて嘘だ。
行き先も分からないままただただ走る。
涙が乾くまで、走る。
別れたくないって。
まふまふのところなんか行くなって。
しっかり言ってほしかった。
揺らいでいる心をそらるさんの元へまた、手繰り寄せてほしかった。
そらるさんの優しさは身に染みて分かってる。
さっきだって、私の幸せを第一に考えてた。
そらるさんの優しさが滲み出てた。
でも、私にはその優しさは
とても辛いものだった。
もっと引き留めてよ。
私をそらるさんのものにしてよ。
多少強引でもいい。
お願いだから、そらるさんに心が傾く様にして。
じゃないと私………
またまふ君の事…好きに………
そんな事を考えながら走っているときだった。
誰かとぶつかった。
まふ君だ。
何でよりによってこんな時にまふ君…?
神様。これは彼氏がいるのに他の男の人へ心が揺らいでいる私への罰ですか……。
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