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第12話

主人公。
804
2020/03/23 12:30
まふ君。
まふ君。
…………はぁ…。
あなたちゃんがそらるさんを探しに行き、
教室には僕一人しか残っていなかった。
まふ君。
まふ君。
………
一人、空っぽになった教室でため息をつく。
まふ君。
まふ君。
………ビクッ
すると、教室のドアがガラッと開いた。
まふ君。
まふ君。
(だ、誰……?)
思わず、しゃがんで机の影に隠れてしまう。



少し顔を出して入ってきた人を確認する。
まふ君。
まふ君。
………そらるさん…?
そらるさん。
そらるさん。
!!
やっぱり、
そらるさんだ。



そらるさんは、振り向いて僕の姿をとらえると、
ものすごい早さで僕のところへやって来た。
そらるさん。
そらるさん。
まふ、あなたがどこにいるか知らない?
まふ君。
まふ君。
………え。

目が潤んで、息も切れてる。

きっと、学校中を探しまくったんだろうな。
まふ君。
まふ君。
………あなたちゃんなら、そらるさんを探しに行きましたよ。
そらるさん。
そらるさん。
……え。
まふ君。
まふ君。
多分入れ違いになったんだと思います。
そらるさん。
そらるさん。
………そっか…
ありがとう。探してみる。
まふ君。
まふ君。
はい。
………そらるさんが行ってしまい、
また教室には静寂が走る。
まふ君。
まふ君。
…………はぁ。僕、何やってるんだろ。
涙が溢れてくる。
まふ君。
まふ君。
………あんな、二人の絆見せつけられちゃったら……もう、邪魔なんて………宣戦布告なんて、できないよ………







小さい頃からヒーローになりたかった。
僕の中でのヒロインはあなたちゃんだった。
でも、ヒロインがいない今、物語は続かない。
ヒーローにだってなれない。
結局僕は主人公には、なれないんだよ。
台本を読み間違えたから。
あそこで、『そらるさんなんか止めて僕にしなよ』って。
そう言えば、物語は台本通りに進んだかもしれない。
でも、僕は台本を読み間違えた。
ヒーローにも、ヒールにもなれないんだ。
………………主人公には、なれない……。
まふ君。
まふ君。
…………でも……
諦めきれない。
だって、ずっとずっと昔から好きで、
離れてもずっとあなたちゃんの事を想ってたんだ。
あなたちゃんがいたから、
今まで僕は生きてこれたんだ。
いきなり出てきたそらるさんに取られちゃうなんて、
嫌だ。
僕の方がずっとずっと前からあなたちゃんの事想ってたんだ。





何で神様はこんな不公平なんだろう。





僕は、今まで散々嫌な目に遭ってきた。
でも、別にどーでも良かった。
またあなたちゃんに会えるって信じてたから。






なのに、何で……何で神様は……















僕の執着心が異常なのも分かってる。
過去にすがり過ぎなのも分かってる。



でもさ、たった10年離れただけで
僕は、大好きな人を取られなきゃいけないの?
そんなの…
そんなの、あんまりじゃないか。
神様、ねぇ神様


僕は、どうすればいいですか?
まふ君。
まふ君。
………
一人で涙を流す。
静かな教室に響くのは嗚咽だけ。
そんな僕の元に突然パサッという音と共に
どこからか本が落ちてきた。
まふ君。
まふ君。
………絵本?
小さい頃大好きだった絵本。


恐る恐る目の前に落ちてきたそれを取って、
1枚ページをめくる。
まふ君。
まふ君。
…………『これは、とある国で起きた悲しいお話』………



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放送中に、失礼します。

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