第6話

戸惑い
1,213
2019/08/22 12:36
まふまふside
まふ君。
まふ君。
あっ……ごめんなさい……。
って、あなたちゃん??
ぶつかった女の子に声をかける。
あなた。
あなた。
ま、まふ君……
やっぱり。あなたちゃんだ。
まふ君。
まふ君。
大丈夫?
ケガない??
あなた。
あなた。
うん。
大丈夫………ッ
まふ君。
まふ君。
!?
いきなりあなたちゃんが泣き出した。
まふ君。
まふ君。
え!?や、やっぱりどこかぶつけた?
あなた。
あなた。
ううん。
まふ君。
まふ君。
…………?
なんで目の前のあなたちゃんは泣いてるんだろう。
それに、なんで走ってたんだろう。
僕には何も分からない。
けど…………
まふ君。
まふ君。
よしよし。
あなたちゃんの背中に手をおいてポンポンと優しく叩く。
あなた。
あなた。
!!
まふ君。
まふ君。
僕には今あなたちゃんが何に悩んでるのか分からないけど……
まふ君。
まふ君。
頼りになれたらいいなとは思ってる!
あなた。
あなた。
まふ君…………ありがとう。
あなたちゃんが少し微笑んでありがとうと言う。
その姿が最高に可愛くて、やっぱり好きだなぁ……
なんて思う。
まふ君。
まふ君。
………あっ!家まで送るよ!
もう暗いし…久しぶりにおばさんにも会いたいし!
あなた。
あなた。
…………お母さんなら、もういないんだ…。
まふ君。
まふ君。
え…………。
あなたちゃんの反応から分かる。
おばさん………亡くなったんだ……。
まふ君。
まふ君。
じゃ、じゃあ今まで一人で?
あなた。
あなた。
ううん!
今は、そらるさんと………同居してて…
まふ君。
まふ君。
ど、同居………そらるさんと………
そ、そうなんだ……。
まふ君。
まふ君。
……………
あなた。
あなた。
……………
沈黙が続く。
まふ君。
まふ君。
ま、まぁなんにしても送ってくよ!
あなた。
あなた。
あ………ありがとう。
まふ君。
まふ君。
じゃ、行こっか!
あなた。
あなた。
…………
知りたくなかった。
そらるさんと同居??
そんなの、知りたくなかった。

やっぱりあなたちゃんが好きなのはそらるさんで、
僕じゃないってことを知らしめられてるみたいだ。
本当は、家になんて送りたくない。
そらるさんの所へなんて送りたくない。

でも…………送らないと……
まふ君。
まふ君。
……っ
頭の中を色々な考えがぐるぐると巡る。
辛さ、悲しさ、好きという気持ち。
そして、『僕のところへ来ればいいのに』
という黒い気持ち。

駄目だ駄目だ。
やめろ。僕。

これ以上、欲深くなるな。
まふ君。
まふ君。
……………~っ
欲を振り払うように後ろを向く。
すると、
まふ君。
まふ君。
………あなたちゃん?
あなた。
あなた。
………
あなたちゃんが、辛そうな顔をしながら
立ち尽くしていた。
まふ君。
まふ君。
どうしたの?
立ち尽くすあなたちゃんに、
優しく聞いてみる。
あなた。
あなた。
帰りたく……ないの。
まふ君。
まふ君。
え。
あなた。
あなた。
そらるさんと一旦距離を置こうと思って……
震えた声であなたちゃんが言う。
そらるさんと……
好きな人と距離を置くのはきっと辛いだろう。
あなた。
あなた。
あの、さ………まふ君の家に泊めてくれないかな?
まふ君。
まふ君。
え!?
あなた。
あなた。
駄目、かな?
まふ君。
まふ君。
え…………
僕は、言っている意味をすぐに理解できなくて、
戸惑うことしかできなかった。

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