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第6話

* 思わぬ手
この屋敷に来て一週間ほどたった。


私も仕事に慣れてきて、疑われる事無く順調に機会をうかがっていた。はずだったのに、仕事に移る前に広間で執事、メイドで集まって今日の主の用事や仕事の内容を確認し合う時間があるのだがその時に事件は起こった。


" 死体が発見された "と。この国で死体が発見される事なんてスラム街があるくらいだから珍しくないのだが、その死体が私の書類に張り付けられていた写真の人物と酷似していたのだと。当り前だろう、書類の写真の女はそいつなのだから。


初出勤のとき、書類の写真と私の顔を照らし合わせた執事長が首を傾げたのを思い出した。その時は咄嗟にメイクの仕方だとかその時は少し顔が張っていて何て言って誤魔化したのだが、それで通じたのもかなり驚いた。


それで通じたこともあってかなり舐めていた。まさかバレるとは。


しかしその次に発せられた言葉で私はより驚く事となったのだ。どうやら隣の国かなんかで顔が似ているメイドになり代わって君主を殺そうとした輩が居たらしい。私と同じような状況だ。


そんな事が有ったからか、同じ様な手口では無いか何て言葉が発せられた瞬間明らかに遠回しだが自分が疑われて居る事に気が付く。


そうして追い打ちをかけるが如く執事長が口を開いた。



「 そう言えばお前、書類の顔写真と実物の顔が違うという事が前にあったよな。 」



言葉に詰まった。まさか今になって掘り返され疑われるなんて思っていなかったし、一週間にして死体が見つかるなんて思っていなかったから。


こんな事になるのなら四肢でも切断してスラム街近くの海に沈めておけばよかった。スラム街の近くは好んで誰か来る事もあまりないし、死体が見つかったとしてもスラム街の人間だと処理されるだろうに。


殺す事は事前に決めておいたはずなのに思ったより動揺してしまって頭が上手く回っていなかった。そうじゃなきゃそのメイドの家の裏手にあった森に死体を埋める事もしなかった。


内心かなり焦っていた。どうしよう、こんな所で……。どうにかして上手く誤魔化せないか。でも焦っている脳ではよい解決策が思い浮かばない。


こんな事なら見つかった時の言訳としてなにか考えておくべきだった。見つからないと高を括って舐めていたのがいけなかった。


必死に言訳を考えている中、メイドや執事の視線が私に集まる。いけない、怪しまれる。


なにか早急に言葉を紡がないといけない気がして、ぱっと思い付いた言訳を紡ごうと口を開いた途端
それを遮る様に声が聞こえた。



「 おい、何だ朝から騒がしい。……何?死体が見つかった?ああ、それでそのメイドを疑っているわけか。そのメイドは犯人じゃないぞ、以前俺が用事があって街に行ったときに俺の事をしつこくつけていた女だな。目障りだったから殺す様に言いつけておいただけだ。 」



それはエディー・アスケロフだった。でもいきなり現れた彼より、彼の放つ言葉に困惑しか生まれない。違う、その女は私が殺した女の筈、でも何で彼は嘘を吐いているんだ?私の事を庇う様な真似をして、何故だ。


でも彼の言葉の御陰で、私への疑いは晴れた様だった。殺す様に言いつけておいたと彼が言うだけで皆納得するこの国も大分おかしいとは思うが取り敢えずは助かった。


心の中で安堵のため息を吐きながら、私は広間を通り過ぎようとする彼に声をかけてはお礼を述べた。


この男にお礼を言うなど本当は嫌だが助けて貰ったのも事実。それにここでお礼を言わないと無礼やら何やら言われそうだったから。


しかし何故彼は嘘を吐いたのだろう。もしかして私が彼を殺そうとしている事がバレていて、掌で転がされているのか。でもそうだったら直ぐに私を殺すか契約を解除するだろう。


危機が去った後、新たな疑問が生まれては私は頭を悩ませた。


でも結果的に彼を殺せればいいのだ。喩え相打ちになったとしても、彼を殺すという目的を達成できればいい。