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第7話

* 決意
あの危機的な状況をかいくぐり二日。時間は経つのが早いと実感しながら、私は未だ彼を殺す機会を得る事が出来ていなかった。


今は彼の部屋に紅茶を届けている最中。急に部屋に紅茶を持ってこいとの命が入り、その時ちょうど仕事を一区切りしていた私が紅茶を持っていく事になったのだ。


彼の部屋の前に着けばノックを二回。その後に「 失礼したします。 」と一声かけて扉を開ける。


彼は机に向かっていた身体を此方へ向けると私をじっと見つめた。何だ、なにかやらかしたか、と内心焦った時に彼は口を開いた。



「 お前、俺の話し相手になれ。 」



いきなりのその言葉に思わず、はい???なんて返事をしてしまいそうだったがどうにか踏みとどまっては、いつもの淡々とした声、態度で至って平然丹に返事をする。



「 はい、畏まりました。 」



彼の前の机にゆっくりと紅茶の入ったティーカップと砂糖、ミルクを置いては彼の眼前に立った。でも、特に話す事は無いし、彼から話題を振ってくる事も無く無言の時間が続いた。


でも彼は何かを話し出す素振りも無いし、逆に私に何かを話せと言いたげな視線すら向けてくる。何だこの態度。何て軽くイラっとしたもののそれを表に出す事は無い。小さく息を吸えば取り敢えずあの時の御礼を言って、私の目的を知られているかの探りを入れてみようと口を開く。



「 この間は、有難う御座いました。なんとお礼を述べていいものか、、助かりました。 」



軽く頭を下げて再度お礼を述べても彼は「 ああ、 」なんて言葉しか返してこない。本当に話す気が有るのかと疑ってしまうくらい。それにしても態度が本当に悪い。でも主人に対して文句を言ってしまえば目的も叶わないものとなる。ここは寛大な心で受け入れるんだ、落ち着け自分。


そう自分に言い聞かせ、他に何かないか、そうだ。取り敢えず探りを入れてみようと再度言葉を紡いだ。



「 あの、失礼を承知でお伺いします。先日エディー様をつけていた女性を殺したとおっしゃっておりましたが、他にもそういう事をなされたり……例えばスラム街の子供を殺したりとか、 」



それを聞いてどうする訳でも無かった。でも、ただ彼は覚えて居るのか疑問になって。もし覚えて居たら私も疑われる日が近くなると思ったから。


でも彼は少し目を見開いて、ぱちくりと数回瞬きした。その後に首を傾げれば、



「 覚えていないな。スラムのガキを殺した所でなにもないだろうし、そもそも記憶に残る程の事でもない。__それが、どうかしたか? 」



何て平然と言ってのけたのだ。殴ってやりたかった。お前があの子を殺したから今私がお前を殺しに来たんだよって、そう言って殺してやりたかった。


腹の底から沸く怒りにぎゅっと握った手をふるふると震わせた。震える息をゆっくりと吸ってはその怒りを抑えた。大丈夫、今殺さなくても、いずれ殺せる。だから大丈夫。


何度目か分からない心の揺らぎを自分を言い聞かせる事によって落ち着けて、彼の問いに言葉を返す。



「 いえ、何でも御座いません。変な質問をしてしまい申し訳ございません。 」



べこりと頭を下げ謝罪を述べる私を横目に彼は紅茶を一口啜った。



「 そうか。 」



カップをソーサーに置いて一言。彼が口を開いた。頭を上げては彼が二度目の紅茶を啜る様子を見ていた。本当は今すぐにでも殺してしまいたかったが、生憎凶器も毒も持っていない。きっと護衛を呼ばれて捕まるのは目に見えて居る。だから今は衝動を抑えて機会を探るのだ。



「 もうよい、下がれ。 」



そう言ったっきり彼は机に向き直り何か、きっと勉強だろう、それを再開させた。私は頭を下げると「 失礼致しました。 」と述べては彼の部屋から出た。


心臓が煩い。それよりも怒りが強かった。覚えて居ないのか。記憶に残る程の事では無いだ何て、よくそんな心の無い事を言えるものだ。


ああ、駄目だ。怒りは湧いてくる一方で、静まる気配はない。


息を吸って、吐く。


ぎゅっと強く拳を握り込んで私は絶対に殺してやるという意思と共に次の仕事をする為に廊下を歩いた。





その時、私は知らない。彼の意図を。


彼が「 馬鹿め。 」と呟いては楽しそうに口角を歪めていた事を。