第4話
* やっと見つけた、
友人が連れていかれた後私はもしかしたら帰ってくるかもしれないだなんて可能性の低い希望を抱いていた。
心の底ではわかっていたけれど、きっと認めたくなかったんだと思う。分かりたくなかった。
友人が連れていかれた次の日も、そのまた次の日も友人を探した。でも見つからなかったし、一向に帰ってくる気配もなかった。
それでも私は諦めずにその次の日も探しに行った。川の近くもみて、目撃者がいないか聞き込みもして、でも有力な情報が得られずただ歩き回っていた時。スラム街の入り口に目を向けては、ふとあるものの存在に気が付いた。昨日は無かった筈の、何か。
私と同じくらいの大きさに見えるその何かに近付いてようやくそれが何か理解した。理解はしたくなかったけれど頭は何故か冷静に現実を理解してしまったのだ。
その " 何か " は私の友人であった。もう今は、息もしていないし、動く事もない。死んでしまっていた。友人の着ていた服に滲む赤い血が、何をされたか何て容易に想像できるものだった。
風が木々を揺らす音がやけに大きく聞こえる 。
目の前の赤に釘付けになってしまって、心臓が破裂するのではと思うくらいに煩い。
口の中が渇く。
滲む冷や汗がこめかみを伝って地面に落ちた。
死んだのだ。林檎を盗んだだけなのに。そもそも盗む経緯になる理由を作ったのも王族だというのに、その王族に殺された。
ぶつかっただけ、生きるために盗んだだけ。それなのにこんな酷い事をする何て。あの次期皇子が命令を下さなかったら、見逃してあげてもいいのに自身の感情のままに命令をしたから。
全部あいつのせいだ。あんなやつ、死んじゃえばいいのに。
__そうだ、願うより、自分で実行した方が確実では無いか。
私のこの手で、あいつを殺してしまえばいいのだ。