前回!!
(前回のあらすじ)
こいしは病院にいたはずなのにいつの間にか真っ暗な空間にいた。
その後その空間から少し歩んだ先で今まであったことが映像として映し出されている場所に立つ。
そしてその時その場に居合わせたルビーがこいしが何かを呟いたのを聞き取り____
ルビー side
………一応話してから離れた方がいいか。
それで何かを察したのか、紫霊は俺からあいつの方へ視線を戻した。
こういう時察しがいいのは流石だ。全く、馬鹿な時とそうでない時の違いはどこなんだろうか。
……って、そんなことを考えている暇はなかった。
俺は病室を出ると、ナツキのいそうな病院内の場所を探し回った。
実はその道中で一度大図書館に寄った。
もしかしたらナツキも来ているかもしれないと考えたから。
だけどそこにはナツキはいなかった。
____代わりに目にしたのは、顔面蒼白で立ち尽くしている古明地姉だった。
俺はそれをみた瞬間何か良からぬ事態が起きたことを察した。
でもそれを分かっていて話しかけなかった。
なぜなら側にはあいつらがいたから。
ここは2人に任せて俺は一旦自分にできる最大限のことをしよう。そう思った。
各々の病室から、談話室や検査室、処置室などの部屋。
さらにはナースステーション、子供用のプレイルーム、トイレだって見に行った。
それなのにナツキは見つからない。
ナースステーションは無人だったので仕方なく入らせてもらった。
悪いとは思っているのであとで謝っておこうと思う。
まあ、謝る時間があればの話だがな………
________ようやくナツキを見つけた時には、体感で数十分が経過しているように思えた。
……見つからないわけだ。
だってナツキは、この病棟の1番奥、滅多に使われないような場所で何かを整理していたのだから。
俺もここまではまだ見れていなかった。しまったな、と反省する。
かなりの時間がかかってしまったが、なんとかナツキを見つけることができた。
俺は、早速ナツキに話しかける。
ナツキは見ている何かから顔を上げる。
そう聞こうとして自分で気づいた。
今この状況。カルテを見る理由なんて一つしかない。
多分…ナツキは過去に入院していた奴のカルテを見ているんだと思う。
俺は知らないがもしかしたら過去に薔薇病の奴がいたのかもしれない。
それか、色々な奇病の治療法を再度確認しているのかもしれない。
治療法が現段階では明らかになっていない薔薇病の治療法を見つける為に。
…流石だな。
じゃあこの病棟ではあいつが初めての薔薇病の患者ってことか……
確かに、もし過去にいたら博麗辺りは何か知っているだろう。
治療法はなくても、少しでも楽になるような対処法くらいは。
それが今出てない以上、この病棟に薔薇病の患者がいなかったことはほぼ確定だな。
薔薇病の治療法に気を取られていたが、俺がナツキのところに来たのは他でもない。
………あの古明地妹のことを伝えに来たんだ。
確かに苦しく辛そうな、悲しそうな表情だった。
もしかしたら悪夢でも見てうなされているのかもしれない。
俺も母親のことや父親のことを、何度も夢に見た。
幼き日の思い出。全てが変わってしまったあの日のこと。
そして母親が初めて俺を殴りつけたことも、何もかも。
起きるといつも心臓はバクバク激しく波打ち、呼吸すらまともにできないこともあった。
息が吸えない、というよりは逆に吸いすぎて過呼吸になっていた。
今でも時々____それを夢にみる。
何度夢に見ようとも、もうあの頃には戻れないのに。
古明地妹のその後も気になるし、紫霊も待たせている。
もし何かあった時に1人よりも2人、大人数の方が対処しやすいだろう。
それをナツキに伝えると、
俺たちはただの患者だ。
特別医療知識を持ち合わせているわけでもない。
ナツキのような知識のある奴がいた方がいざという時心強い。
…残してきた古明地妹と紫霊のことが心配だ。
俺は急いで2人の元へ走った。
哀音 side
あれから私は紅葉ちゃんと一緒に薔薇病の治療法が載っている本を探し続けた。
だけど、治療法は愚か薔薇病のことが書いてある本さえ一つも見つからなかった。
何度も紅葉ちゃんとこんなに大きい図書館なのに、という言葉を交わした。
でも、そもそも奇病は珍しすぎる病気。
奇病の本があるだけでも凄いのに、薔薇病っていう珍しい奇病の本なんてないよね……
そういえば最近、ずっと貧血気味だな。
頭も痛いし体も怠い気がする。背中の羽も…前よりも大きくなった。
食欲もあまりない。だから日に日に痩せていっている気がする。
……確実に私、弱っていってるな。
そりゃそうだよね。
一度発症してしまったらもう絶対に治らない、助からないって言われてる病気だもん。
_______そんな奇病の進行は、止まることを知らないみたい。
でも、みんな必死に頑張ってる。全員必死に治療法を探してる。
そんな中、私だけ奇病の進行を言い訳に休む訳にはいかない。
みんな辛いのは同じだから。だから私もできる限りのことをしたい。
………心配かけてごめんね。紅葉ちゃん。
もちろん、申し訳ないって思ってる。
でもそれでも、私は薔薇病の治療法を________
私は思わず返事をしたけど、その言葉は私に向けられたものではなかった。
紅葉ちゃんは気がついたらあの金髪…キラ達の方にいた。
私が考え事をしている間にいつの間にか。
……それより、さっきの言葉は何?
私に向けられたものではないのはほぼ確定だけど、じゃあ一体誰に向かって言って…
私は少し離れた場所から聞き耳を立てた。
2人は神妙な面持ちで俯き、硬く口を閉ざしていた。
その様子を見て私は一体何があったのかと焦る。
それが幸せなことならあんな表情はきっとしないと思う。
一体何があったの………?

紅葉ちゃんは涙を溢していた。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。