保健室に1番離れた階段だったから
廊下を歩くとめちゃくちゃ目立った。
「失礼します」
「あれ、大和くんに伏見ちゃん、すごい登場だね」
あいにく保健室に他の生徒はいなかった。
先生が伏見さんに駆け寄ってくる。
「伏見ちゃん、生きてる〜?」
「…生きてます、殺さないでください」
そう言えば伏見さんは保険委員会だった。
だから先生と仲がいいのか。
話しながらも素早く処置をしてくれた。
「じゃあ僕はこれで…」
「待って」
保健室に伏見さんの声が響く。
「あ、先生邪魔かな?じゃあね〜」
そう言うと先生は出て行ってしまった。
「ごめんね、
僕のせいで怪我させちゃって…」
「違うよ。 足は落ちる前にひねったの。」
「でも…」
遮るように、伏見さんが僕に向かって話す
「大和くん、いつも本当にありがとう
…ヒーローみたいでかっこよかった」
そう言うと伏見さんはいちごみるくをくれた。
「…こちらこそありがとう。お大事にね」
伏見さんのくれたいちごみるくは
とても甘くて、とても優しい味がした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。