ある日のデート
「ねー大和くん」
「なに?」
「なんか私後ろ髪変な気がする」
…まさか!
予想どおり思いっきりはねていた。
「僕くし持ってきたよ」
「さすが大和くん…!」
最近は伏見さんのフシギな行動を
少し予想できるようになった。
おかげで荷物は増えたけど、役立つと嬉しい。
フシギで、優しくて、愛らしい彼女。
僕を好きだと言ってくれる彼女。
助けてあげたくなる彼女。
料理が下手な彼女。
伏見さんの全てが好きなんだ。
良いところも、ダメなところも受け止めたい。
なんて言ったら、どんな顔をするかな。
「ありがと、大和くん」
「いえいえ、じゃあ行こっか」
そういうと僕らは自然と手を繋いだ。
フシギな伏見さんと、冴えない僕。
こうして一緒に過ごす時間が、すごく幸せなのだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!