第30話

終章
750
2023/03/25 21:00
あれから半年。
季節は冬。

クリスマスに合わせて発売されたFischer’sの写真集は、瞬く間にファンの間で話題となり、社会現象にまでなった。

今までに見たことのないFischer’sの姿が見られると、様々なメディアで取り上げられた。
そしてそれ以上に、謎の女性モデルXの存在が、SNSを中心に様々な憶測を呼び、社会現象となったのだ。

そこから、本来の目的だった「大人の男性」が関心を持ち、Fischer’sの新たなファンの獲得に繋がっていった。

写真集の累計販売冊数は1ヶ月足らずで30万部を突破。
推定販売冊数は、50万部を超えるとも言われている。






そして、私たちは。
シルク
謎のモデルXさーんw
あなた
え、うざっ
ンダホ
ちょw
あなたちゃん顔w
モトキ
そういうデリカシーのないこと言ってると、あなたちゃんに振られるよーw
シルク
それは困る!!
ごめんなさい!!
ザカオ
いや、素直かw
あなた
あはははw
ダーマ
シルクが30歳までに振られる確率は…
マサイ
もう2年ないってことだろ?
確率高いんじゃね?w
シルク
ゼロだゼロ!!
無!!
いつも通り、和気藹々と動画の撮影をしていた。
もちろん、私は小学校の教師を続けている。

時々、こうやって休みと撮影が重なると、手伝いをするようになった。


モデルの活動は、あれっきり。
メイクの力が大きく、身近な人にも、私があのモデルだとはバレていない。
ンダホ
さー!
撮影するよー!
マサイ
よっしゃ!行くぜー!
ンダホが集合をかけ、シルクを除くメンバーは走り出す。
あなた
ん?シルク?
ンダホが呼んでるよ?
行かないと。
シルク
んー…分かってるー。
キョロキョロと周りを伺い、その後、

チュッ

と、触れるだけのキスをしてきた。
マサイ
あーーーーーーーーー!!!!
ダーマ
今すぐ振られる確率、急上昇w
ガッツリメンバーに見られたようだ。
恥ずかしい。
モトキ
もう、いいから!w
シルクー!!
早くー!
オープニング撮るよー!
シルク
…しゃーねーな。
あなた
…こら。
シルク
んじゃ、行ってきます!
あなた
行ってらっしゃい!
大きく手を振り、シルクはみんなの元へかけていく。
その眩しい姿を、私は穏やかな気持ちで見つめた。









私の推しは、Fischer’s。
ンダホ
どうも、Fischer’sンダホです!
モトキ
モトキです!
ダーマ
ダーマ。
ザカオ
ザカオ!
マサイ
俺っ!




そして、最推しは。
シルク
俺って誰だよ!w
シルク!
シルクロード。




これからも、ずっと。
この恋は、続いていく。

長い長い片恋は。



永い永い両想いへ。





fin

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