第13話

出会い ~瀬戸健太郎の場合~
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2020/09/18 14:43
……ん~?あなた先輩のこと…?

他のヤツらに聞いて…。え?取材拒否?
じゃあしょうがないよね。

諦めな。

それじゃ…ふぁあ…おやすみ…zzz


ーーーアイマスクをして閉ざした視界の中、俺はなんとなく先輩と出会った日のことを思い出していた。
◆◇◆◇◆
瀬戸健太郎
瀬戸健太郎
…………zzz
空調設備の整った保健室。

静かなその部屋で昼休みに仮眠をとるのが俺の何の変哲もない日課になりつつあった。

けれど。
ゴンッ!
瀬戸健太郎
瀬戸健太郎
っ!?
急に額に走る衝撃。

その痛みで思わず目を覚ませば、側に落ちていたのはゴムボールだった。

……何で?
(なまえ)
あなた
わぁあっ!大丈夫!?
怪我してない!?
開けっ放しになっていた保健室の窓から顔を除かせたのは綺麗な顔の上級生?だった。
瀬戸健太郎
瀬戸健太郎
………これ…。
(なまえ)
あなた
あぁあっ、やっぱりぶつかっちゃってたんだ!ごめん、俺のせいでっ!
その人は涙目で俺に謝ってきたから、わざとじゃないってのはよくわかったけど…。
(なまえ)
あなた
外歩いてたら体育で使うゴムボールが転がってたから、籠に戻そうと思って投げたら何故か跳んでいっちゃって…!
何それ。それで保健室の窓から入ってきて俺に当たるって…どんな確率?
(なまえ)
あなた
弟にも球体を投げるなって言われてた
のに…本当にごめんねっ!
瀬戸健太郎
瀬戸健太郎
いえ、別に…。ゴムボールだったからそんな大した怪我はなかったんで…。
(なまえ)
あなた
そっか。よかった~。
……って、もしかしてキミ……
瀬戸健太郎くん?
瀬戸健太郎
瀬戸健太郎
?はい。
(なまえ)
あなた
わあ、やっぱり!
すっごく頭の良い1年がいるって噂に
なってて、ずっと気になってたんだ。
一転してニコニコと笑う。

感情の振れ幅大きくない?
(なまえ)
あなた
最初は弟のことかな~って思ってたんだけど、おでこにホクロがある子だって聞いたかr
瀬戸健太郎
瀬戸健太郎
そうですか。
頭の出来のことで騒がれるのは慣れてるから、取りあえず早く寝直したい。

弟とやらのことが気にならないわけじゃないけど。
(なまえ)
あなた
あ、そうだ!ボールぶつけちゃったお詫びにこれあげる。はい!
俺が言葉を遮ったことも気に留めず、俺の前に差し出されたのは
瀬戸健太郎
瀬戸健太郎
アイマスク……?
何で?

俺が言うのもなんだけど、普通こんなところで特に理由もなく寝てたら注意すると思うんだけど。

しかもアイマスクって寝ることを勧めてるよね、確実に。

てか何でこの人、今こんな物持ってんの?
(なまえ)
あなた
……俺、未知のものには興味を持つタイプなんだ。
瀬戸健太郎
瀬戸健太郎
それは今まさに俺が考えていたことだった。

人間は、自分の理解の及ばない事象に遭遇したとき2つのパターンに分かれる。

その事象を畏怖するか、興味を持つか。

そして俺は…
瀬戸健太郎
瀬戸健太郎
俺も…同じです。
興味を持つ。

今までこんなに理解不能な人には出会ったことがなかった。

だから純粋に面白そうだと思った。

全てが理解出来る俺の日常でこんな感情を持ったのは久しぶりだ。
(なまえ)
あなた
弟の他に頭が良いって言われる子に会うのは初めてだからさ。これから瀬戸くんのこともっと知りたいな。
瀬戸健太郎
瀬戸健太郎
じゃあ、手始めに先輩の名前、教えてください。
(なまえ)
あなた
あはっ、そうだね。
俺の名前はあなた。花宮あなただよ。
瀬戸健太郎
瀬戸健太郎
あなた先輩、これから
よろしくお願いします。
(なまえ)
あなた
うん、こちらこそ♪


◆◇◆◇◆◇


山崎弘
山崎弘
ーーぎゃー!あなた先輩の投げたボールが松本にぃー!
花宮真
花宮真
兄貴ぃいぃいぃー!
(なまえ)
あなた
うわぁあ、ごめんなさいー!(;>_<;)
今日も転がっていったボールを反射的に投げてしまったあなた先輩。

成る程、今回の被害者は松本か。
原一哉
原一哉
出た、あなたセンパイの
無自覚ラフプレーwww
古橋康次郎
古橋康次郎
何故前に投げたボールが後ろに居た
松本に当たるんだろうか。
瀬戸健太郎
瀬戸健太郎
うん。あればっかりは俺にも
多分、花宮にもわからないよ。
軌道が最早物理法則を無視してるからね。
原一哉
原一哉
瀬戸と花宮が理解出来ないとk
瀬戸健太郎
瀬戸健太郎
まぁ、だから面白いんだけど。
原一哉
原一哉
かぶせるのやめてくれr
瀬戸健太郎
瀬戸健太郎
無理。
理解出来ないことは面白い。

俺は慌てて松本を介抱しているあなた先輩を見ながらそう思った。




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