第23話

兄弟戦争
528
2020/10/02 01:49
※古橋視点
花宮真
花宮真
…………………。
その日、花宮の機嫌はとてつもなく悪かった。
山崎弘
山崎弘
おい、花宮の奴どうしたんだよ!
原一哉
原一哉
俺が知るわけないっしょ。ザキが直接聞いてくれば?
体育館の中で禍々しいオーラを放ちながら眉間に皺を寄せて黙り込む花宮に近寄ろうとする部員は誰もいない。

山崎ザキや原も小声で言い合いをしながら原因を探るように様子を伺っている。

ただ、同時に俺は違和感を感じていた。
古橋康次郎
古橋康次郎
あなた先輩、来ないな……。
花宮真
花宮真
ッ………!
俺の言葉に花宮が僅かに反応した。

なるほど。怒りの理由はあなた先輩に関係していることか。

おかしいとは思っていた。

こういうときは必ずあなた先輩が差し入れを持って来てくれて花宮の機嫌を直してくれるのに、今日に限ってあなた先輩は体育館にすら来なかった。
瀬戸健太郎
瀬戸健太郎
先輩と何かあった?
このままでは埒が明かないと思ったのか、瀬戸がついに口火を切った。
花宮真
花宮真
…………のだ…。
瀬戸健太郎
瀬戸健太郎
え?
花宮真
花宮真
兄貴は……裏切り者だ……。
原・山崎・古橋・瀬戸
原・山崎・古橋・瀬戸
!?!?
あなた先輩が裏切り者?

意味がわからないな…。
山崎弘
山崎弘
は!?
どういうことだよ!きちんと説明し
(なまえ)
あなた
まーくんっ!!
山崎ザキの言葉を遮り、体育館にくだんのあなた先輩の声が響いた。
花宮真
花宮真
兄貴………何しに来たんだよ……。
(なまえ)
あなた
ごめん…。だけど、やっぱり俺はまーくんにわかって欲しくて………!
花宮真
花宮真
っ!わかるわけねぇだろバァカッ!!
(なまえ)
あなた
!まーくんなら俺の気持ち、きっと理解してくれると思ってたのに…。残念だよ…本当に…。
花宮真
花宮真
あぁ、俺も…あんなモン見たくなかったぜ、兄貴。信じてたのに…ずっと、隠して…嘘ついてたんだな…。
隠していた?

どういうことだ?

気になるが、2人の様子があまりにも真剣だったので俺たちは何も言えなくなる。
(なまえ)
あなた
違うよ!それは…隠してたことは認めるけど…ずっと嘘をついてたわけじゃない!
(なまえ)
あなた
でも俺は…知ってしまったから…。
花宮真
花宮真
………そうか。それならもういい!兄貴はずっとそちら側にいればいいだろ!
(なまえ)
あなた
まーくんっ!!
(なまえ)
あなた
なんで……。
なんでわかってくれないんだよ!
花宮真
花宮真
だからわかるわけねぇだろ!
(なまえ)
あなた
きの●の山が美味しいってこと!
花宮真
花宮真
きの●の山が美味しいなんて!


………………………。



原・山崎・古橋・瀬戸
原・山崎・古橋・瀬戸
は?
花宮とあなた先輩のハモりを聞いた後、たっぷりと10秒は思考が停止していた俺たち4人の声がハモった。


きの●の山?


花宮真
花宮真
俺がす●のこ派なの兄貴は知ってんだろ!それに、この前まです●のこ派だったじゃねぇか!
(なまえ)
あなた
そうだよ!けどヒロくんとコンビニ行ったときに見つけちゃったんだよ!きの●の山のミント味!
花宮真
花宮真
山崎てめぇえぇ!!
山崎弘
山崎弘
ぎゃーっ!!
そう言えば、先週山崎と一緒にコンビニへ行っていたな。あの時か。

つまり、先程の会話は


『!まーくんなら(ミント好きな)俺の気持ち、きっと理解してくれると思ってたのに…。』

『あぁ、俺も…あんなモンきの●の山見たくなかったぜ、兄貴。(す●のこ派だと)信じてたのに…ずっと、(冷蔵庫に)隠して…(す●のこ派だと)嘘ついてたんだな…。』

『違うよ!それは…(冷蔵庫に)隠してたことは認めるけど…(先週食べたばかりだから)ずっと嘘をついてたわけじゃない!』

『でも俺は…(きの●の山のミント味を)知ってしまったから…。』

『………そうか。それならもういい!兄貴はずっとそちら側きの●派にいればいいだろ!』


ということか。
山崎弘
山崎弘
いや!しょうもねぇ喧嘩してんじゃねぇよ!俺らの気持ち返せ!
花宮真
花宮真
あ″ぁ!?
花宮は基本的に甘いものは嫌いだしな。
す●のこ派と自称しているのも、結局は両方嫌い、という意味なんだろうが。

そうか…す●のこ派か…。
古橋康次郎
古橋康次郎
花宮、すまない。俺もきの●派だ。
花宮真
花宮真
!?なっ……!
古橋康次郎
古橋康次郎
謎のホワイト味が予想以上で驚いた。
暫くコンビニで見つける度に買ってしまっていたからな。
瀬戸健太郎
瀬戸健太郎
あー……俺も。
エスプレッソ味旨かったし。
原一哉
原一哉
俺も。紫いも味ハマってたよん。
旨かったし。
俺たちが続々とカミングアウトしていくと、花宮はぶるぶると震えだし
花宮真
花宮真
……………っ、てめぇらなんて大嫌いだバァァカッ!!
そう言って体育館から走り去っていった。
(なまえ)
あなた
あぁっ!まーくーーんっ!!
あなた先輩の悲痛な叫びが響く。
(なまえ)
あなた
……………戦争はいつだって人と人の絆を引き裂くんだ…。
すみません、先輩。意味がわからないです。

ーーー結局、その日も霧崎第一高校バスケ部は平和だった。

ちなみにその後、花宮はカカオ100%チョコで先輩が作ったきの●の山で陥落させることが出来たが、山崎はた●のこ派だったため俺と原が粛清した。

プリ小説オーディオドラマ