丸山side
あえて明るく声かけてみたんに
僕の姿を見た途端、あなたちゃんの目に
更にジワジワと涙が溜まっていった。
もしかして普段と服装違うから
僕って分からへんかったんかな…って。
でもそうじゃなかったみたいで…。
一応、緊張を少なくできるように
安定剤は投与しとるんやけど、
全く効き目ないみたいや…。
麻酔科の先生が
あなたの下の名前ちゃんの口にマスクを付けると、
あなたの下の名前ちゃんの身体に
更にグッと力が入るのがわかった。
片手であなたの下の名前ちゃんの頭を撫でつつ、
もう片方の手であなたの下の名前ちゃんの肩を擦る。
麻酔科の先生のカウントが始まって
どんどんあなたの下の名前ちゃんの身体の力が
抜けていく。
ゆっくり閉じたあなたの下の名前ちゃんの目から
ツーっと一筋涙が溢れた。
それを指でそっと拭って、
手を洗うために一度
あなたの下の名前ちゃんの傍を離れた。
準備して戻ると
既に人工呼吸器に繋げられた
あなたの下の名前ちゃんの姿。
絶対助けたるからな。
負けたらあかんで、あなたの下の名前ちゃん。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。