「山田んちって何階?」
『えっと確かー…』
マンションの入口付近に設置されたエレベーターの中に二人で入り涼介が住む階のボタンを押す。
「にしても山田の奴今頃面白いことになってんじゃない?』
『ん?』
エレベーターが目的の階まで上へ移動してる間、
他愛もない話をにこにこしながら私にする大ちゃん。
「絶対今頃あいつ楽屋に携帯忘れたの気付いてあたふたしてると思う」
『ふふ、そうかもしれないね』
「ははっ、だろー?」
大ちゃんの言うあたふたする涼介を想像したら不覚にも可愛くて笑ってしまった。
そうこうしている内に目的の階まで到着し私と大ちゃんは
エレベーターから降り涼介の部屋まで歩いていく。
『、』
ここまで来てふと私は何も連絡なしに涼介の部屋まで来て良かったのかと突然不安になる。
こんな事して今まで以上に彼から距離を置かれたらどうしようと足が止まってしまった。
「あなたちゃんどうした?」
『あ、ご、ごめん』
先に歩いて来んないと俺山田んちどこかわかんないよ、なんて突然立ち止まる私に
不思議そうにする大ちゃんに返事をし私は重くなった足を前に動かす。
そんな時だった。
私はこれから信じがたい光景を目の当たりすることになる。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。