「久しぶりだね、今日は一人で買い物?」
『はい、まあそんなところです』
サンブラスをかけたまま私の隣にやって来た有岡さん。
この人とは以前2、3度ほど涼介を通して会ったことがあって言わば顔見知り程度の関係だ。
涼介とは同じグループのメンバーであり、
友人である彼はとても天真爛漫で太陽みたいな人だと思う。
人見知りする私にもこうやって話しかけてくれるしほんと気さくな良い人。
『今日は有岡さんお休みなんですか?』
「そうなの、今日は久しぶりの休みでさ」
だから気晴らしに買い物でもしようと思って。
なんて楽しそうに話す彼に私もさっきまでの嫌な事を忘れつられて笑顔になる。
『はは、そうなんですか』
「ねえあなたちゃん」
『なんですか?』
「その敬語やめない?」
『で、でも有岡さん私より年上だし』
「だってあなたちゃん山田と同じ歳だろ?そんな年変わんないし気なんか使わなくていいよ」
いや、でも…。と戸惑う私に有岡さんは笑顔で
俺堅苦しいの嫌いだからいいよいいよ。と言ってくれる彼に同意するしかなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。