第18話

episode18
1,109
2018/04/10 05:28
「山田どういう事か説明しろ」




未だ納得出来ないであろう大ちゃんが涼介にそう問いかけた。




私はその光景をただ後ろから見つめる事しか出来ないでいる。






「……」


「なんで何も言わないんだよ」




あなたちゃんと付き合ってたんじゃないのかお前。




そんな大ちゃんの言葉に誰よりも先に反応したのは他でもない



未だ涼介の隣へ立ち続けるあの女の人だった。




「貴方があなたちゃん?」




私の方へやって来たその人は認めたくないが本当に綺麗で。



私とは正反対の大人の女性だった。




「あのね、今のは誤解なの。涼介とはそういう関係じゃないし…」




“涼介”



何気なしに彼女の口から呼ばれるその言葉に胸が堪らなく苦しくなる。




誤解?


あんな事しといて何がそういう関係じゃないと言えるのだろうか。





「それに私、付き合ってる人がいるの」




他に付き合ってる人が居るならどうしてさっき涼介の行為を受け入れた?




じゃあどうして涼介が殴られそうになった時あんなに必死で助けたの?





私は頭の中で必死に彼女の言葉を否定し続けた。




どうせ貴方も本当は涼介が好きなんでしょう?




こみ上げてくる虚しさと苛立ちでどうにかなってしまいそうだ。




「本当にごめんねあなたちゃん」

『、』





彼女のその言葉に私の中の何かがぷつりと音をたてて切れた気がした。




何もないならどうして謝るの。




気がついたら私は彼女目掛けて手をあげようとしていたのだ。



「あなたちゃん、」





無我夢中に振り上げた手は大ちゃんの大きな手で後ろから握り締められていて、




『っ、なんでとめるの』


「こんな奴ら殴る価値もない」



『…っ』



「もう行こう」




涙でぼやける私の視界を大ちゃんが自分の服の袖で優しく拭ってくれた。



そして彼はふと何か思い出したのかように



涼介が楽屋に忘れた携帯をその女性に乱暴に渡すと、



「山田とはなんもないんだろ?」

「え?」

「なんも無いのにあなたちゃんに謝るんだ」

「そ、それは…」

「あんた最低だな」




俺あんたみたいな女大嫌い。


大ちゃんは今まで聞いたこともない冷たい声で彼女にそう言い放ったのだ。

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