エーデュースとグリム、自分の分の昼食を買って席に着く。
先輩方も昼食を買ってきたようで、私達の横の席に座った。
あ、今の一瞬でトレイ先輩の性格ある程度分かったわ。
絶対苦労性……。
パシャッ!
……………、
バンっ!(机を叩く音
え、待って今私……。
落ち着け私。
この世界は他の世界との関係が一切見られない。
まるで隔離されているように。
そんなところで写真が出回ろうが何も困ることはないだろう。
何をやってるんだ。
やっぱりあれでは誤魔化せない、か。
みんなの表情からは恐怖と混乱がありありと伝わってくる。
でも、それがない人が1人。
寮長は、何も思っていないのか…?
…………いや、そんなはずがない。
リドル寮長の瞳の奥には、隠しているがかすかに動揺の色が見てとれる。
そして──こちらを伺う探りの目。
分かっているから鈍感な振りをしているだけ。
もう一度投稿されたものは消されようが消されまいが関係ないだろう。
今の私はこの学園で“噂の異世界人”なワケだし。
話題を変えようと、話をふる。
さっきまでフリーズしてたエーデュースも元に戻った。
リドル寮長に感謝だ。
……まあ、今後の追及は免れられないだろうけれど。
そんな感じで談笑しながら昼食を食べ終え。
寮長の言葉でお開きとなった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。