先に言っておくと、世界によって魔法の使いやすさに差がある。
何によって生じている差かはわからないけどね。
基本的に魔法のある世界では魔法が使いやすく、逆に魔法がない世界では使いにくい。
だから魔法がどれくらい使えるのかを知ることで、この世界がどれ程魔法に通じているのかも分かる、ってワケだ。
これは私が自分で調べたことだから、例外がない限り間違いない。
「……防御魔法」
呟いて、一瞬の内に炎を防げるようなシールドを部屋中に張る。
あ、勿論ちゃんと考えてるよ。
勢いはある炎だからそれなりに速さもある。
一瞬の間が被害に関わるんだ。
炎の発生源であるグリムに一番近いのは学園長、その次に在校生らしき人達(寮長ズのことですby作者)、そして新入生がその周りにいる。
私は鏡の前にいるから、私と生徒達がグリムや学園長を囲っている感じ。
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鏡
あなた
新 グリム 新
入 クロウリー 入
生 寮長たち 生
達 新入生達 達
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シールドは自分がいる場所から広げていくのが基本だけど、今回は自分と逆側、つまり一番奥の新入生側からシールドを広げた。
在校生の実力は知らないが、最低でも自分を守るくらいの力はあるだろう。
ただ今のような混乱の中で他人を守る考えがあるかどうかは微妙。
学園長には力もその考えもあるだろうけど……なんか放任っぽいし。
よって今優先的に守るべきは新入生だ。
……よし、これでひとまず安全は確保できた。
あとは炎を止めるだけだけど…。
シールドを張ったことにはグリムは気づいてない。
炎を出す方に必死みたいだ。
このままでも人は守れるしグリムももうすぐ力尽きるだろうけど、そうすると部屋の方が危ない。
ま、この部屋もなんか特殊な魔法がかけられてるみたいだけどね。
それに、ほんとの目的はこの世界がどれ程魔法に通じているか知ること。
防御魔法なんて基本中の基本の魔法、使えてもしょうがない。
部屋や生徒を守りながら炎を止め、且つこの世界のことを知る一番手っ取り早い方法は──。
「(…グリム)」
心の中でそう呼び掛ける。
そう、今の状況で最適な魔法は───読心術。
感情に干渉するんだ。
あ、ダジャレじゃないよ??(((
もちろん、物理的にグリムを止めることはできる。
気を失わせてね。
ただそれだと、私の魔法によってこの部屋が傷ついたり、最悪グリム自身が傷ついてしまう可能性があるんだ。
もしそうなってしまったら元も子もない。
他に身体や建物を傷つけず意識だけを奪う方法もあるけれど、あれはコツを掴めば割りと簡単に出来る魔法だ。
まぁそうは言っても魔法の中ではレベル高い方ではあるらしいんだけどね。
下手な人がやると目を覚ますまでの時間がコントロールできないそうだ。
対してこの魔法──読心術は、魔法の中でもトップレベルの難易度。
当たり前だよね。
そんな簡単に心読めてたら政治とか狂っちゃうじゃん。
日常的にもだけど。
人間不信になる人多発するよ。
だから、この魔法。
あ、読心術って心読むだけじゃないんだよ?
本来は勿論心読むだけだけど。
極めればこっちが伝えたいと思ったことを相手に伝えることもできるんだ。
私は心を読むのは嫌いだけど、この伝える方は好きだ。
今使ったのはそれね。
グリム「ふなっ!」
グリム「(なんなんだゾ!!?今、声が…)」
お、良い感じ。
動揺して炎が弱くなった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。