第23話

買い物袋
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2021/03/03 10:00
たくさんの店を回ってソアが私に似合う服をコーディネートしてくれた。

おっぱが年上だから、あまり幼く見えず且つ無理して大人っぽくならないようなファッションに。

自分じゃ絶対決まらないから、ソアに選んでもらえて本当に助かった。
you
ソアありがとう!これで明後日バッチリだよ〜
ソア
さ、最後に行きますか!
you
え?まだ買うの?
ソア
大事なもの買ってないじゃ〜〜ん!
そう言って楽しげに笑うソアに連れられてきたのは、普段あまり入らないようなキラキラした下着のお店。
you
ええっ!?
綺麗なお姉さんがいらっしゃいませ〜と声をかけてくれるけど、場違いなんじゃないかと焦る。
you
ちょっと、私こんな店…!
ソア
あなたは可愛いタイプのしか持ってないでしょ?
明後日のためにちょっと大人なやつ買わなきゃ!!
you
いいって!何もないから!
店員さんに聞こえないようにこそこそ話す私。
ソア
わっかんないじゃん!
ワンチャンあるってソジュンも言ってたでしょ!?
ソアは普通の声で話すから恥ずかしくて仕方ない。
you
もーソアってば声大きい///
ごめんごめんと笑いながらどんどん店の奥へ入っていくソア。

仕方ないから追いかけるけど、本当に私には不釣り合いの物ばっかりで…

左右に飾られた商品を見ると、黒やら赤やら緑やら、本当にいろんな色やデザインの下着が綺麗に飾られている。

なんだかキラキラして宝石みたい。

これがランジェリーか…とか感心しながら見ていると、ソアが3着くらい持って私のところまで来た。
you
ちょっといつの間に!?
ソア
ほら、あなたのサイズ持ってきたから試着してきなよ!
you
えぇ!?こんなの無理だよ!?
ソアが待ってる商品を見て恥ずかしくなる。

無理無理と拒んでいるのに勝手に店員さんを呼ばれ、あっという間に試着室へ。

ソアが選んできた3着は、赤、黒、ピンクの3着。
この中なら絶対ピンクなんだけど。

全部試着してソアが無理やり覗いてきた結果、黒はやり過ぎか…?とか呟いて赤とピンクを買うことに。

赤も十分派手だけど、せっかく来たから思い切って買った。

買い物疲れを癒しにカフェで一息ついてから2人で駅に向かう。

駅前の横断歩道に差し掛かったとき、ソアが無言で私の肩を叩いた。
you
ん?
ソアの指差す方を見ると、横断歩道の向こう側に見慣れた人が立っていた。

おっぱ…?
隣には、綺麗な女の人。
ソア
あれって…
仲良さそうに2人で話し、少し派手な見た目のその人がおっぱの腕に触れる。
談笑し合う姿がとても素敵で、大人のカップルって感じ。
おっぱも、いつものラフな格好なんかじゃなく高級そうなコートなんか着てる。
ソア
お姉さんとか、かもよ?
無言でいる私を励ましてくれるソア。
なんて優しいんだろう。
you
お姉さんも、妹さんも…いないって言ってた。
ソア
あなた…、、
買い物袋で嵩張る私を抱き寄せてくれる。

信号が青になるとお似合いの2人は早歩きで交差点を去っていった。

突然鉛のように重くなった袋を持ち直して、精一杯の笑顔を作る。
you
行こ?
その後は最寄り駅まで無言で帰った。
ソアに心配かけたくないのに、今は何も言葉が出てこない。

せっかく買った洋服たちが可哀想なくらい、私は明らかに気分が下がっていた。

彼女がいてもいいーーー
そんな風に考えていた私が浅はかだったみたい。

不安そうに私を労るソアと別れて、一人家へと向かう。

人違いだったら、なんて夢みたいなこと考えてみるけど当然のように玄関の鍵は閉まっていた。

電気もつけず真っ暗な部屋の中で1人静かに涙を流す。

途中で紙袋が倒れてカサ、と音がした。

下着のショップバッグを半ば乱暴に引き出しの奥へと詰め込む。
舞い上がって馬鹿みたい。


ひとしきり泣いたら少しだけ落ち着いた。
こんな時にもお腹がすくなんて…
一人で残ってた物を少し食べてシャワーを浴びた。

布団に入り枕に突っ伏すとまた自然に涙が溢れてくる。


目が腫れるまで泣いたけど、その日おっぱは家に帰ってこなかった。

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