なかなか泣き止まない私を、落ち着くまでずっと抱きしめてくれていたおっぱ。
コクンと無言で頷くと頭をぽんぽんと撫でてくれる。
本当、こうやって人を勘違いさせるのが上手い。
私の頭の上に顎を乗せながら喋るおっぱ。
そんなの口ではいくらでも言えるよね、、
彼女いるし、
ガキって呼ぶし、
私に望みなんてないのに、
あんな風に話したりして…
返事をしない代わりに鼻を啜った。
ついに来た。
もうここまできたら掘り返さなくてもいいのに…
それでも意を決してもう一度伝える。
ほらやっぱり。見間違いなんかじゃないんだ。
また泣きそうになっておっぱの胸に頭を押し付けた。
相変わらずおっぱが喋るたびに私の頭に音が響く。
なによ勘違いって。
思いがけない言葉に驚いて、すぐに身体を離しおっぱを見上げる。
そんなの、聞いてないっ…!!!
盛大な勘違いをしていたことに気が付いて今更ながら恥ずかしくなる。
おっぱが優しい目で私を見下ろし、頬についた涙を拭った。
いつものおっぱが私の顔を見て笑う。
帰ってくるなり私が泣き喚いたから、ずっと玄関に立っていた私たち。
おっぱが私の手を取って部屋に上がった。
あの高そうなコートだけを脱いで、私に座れと合図する。
小さい子供みたいに泣きじゃくって、その上勘違いも甚だしく不満を言った私。
だんだん冷静になってきて、これは怒られるんじゃ、、と心の準備をしておっぱの前に正座した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!