正面に座り、ベッドに肘をつきながら私を見据える。
その瞳に耐えられず私は小さくなった。
だってなんだよ?
と無言の圧力をかけてくる。
そう、私にはまだちゃんと確認しなくちゃいけないことがある。
今度こそおっぱの目を見てしっかりと言う。
この際ちゃんと答えてもらおう。
…どういうこと?
多分今私はこの世で1番驚いた顔してると思う。
数秒フリーズして、また口を開く。
くっ…勝てない、、
呆然としたり怒ったり。
自分でも忙しいなと思うけど、なかなか感情がついていかなくて。
混乱しながらも気持ちを整理していると、おっぱが思い出したようにまた圧力をかけてきた。
怒ってるのが少しずつ伝わってきて、完全に私が弱者だと理解した。
あぁ、これはもう完全に私が責められるやつ。
この後どれくらい正座してればいいんだろう…
何も言い返せないくらい、今日は私が一方的に立場が弱い。
散々勝手に勘違いした挙げ句、おっぱを責めて怒って浮気者扱いしたんだから…
それでも何か言ってやりたくて、必死におっぱの弱点を探した。
さっきまで小さくなっていた私も、顔を上げておっぱと目線を合わせた。
はっきり言い切ると、ベッドにもたれかかるのをやめたおっぱ。
あぐらをかいたまま上半身をこちらに傾けて前のめりになる。
目の前におっぱの顔が近付いてきて思わず息を呑んだ。
真剣な眼差しがいつも以上にかっこよく見えて、心臓がうるさく鳴り始める。
慣れたと思っていたけど、まだまだ私の脈って早くなるんだ…
一気に顔に熱が集中してあつくなる。
もしかして、もしかしてだけどこれは期待していいの?
ついに私の思いが届いたの?
目を見開きながら膝の前に手をついて、私からもおっぱに少し近付いた。
すると突然の目の前が暗くなって顔を何かが覆う。
…キスとかじゃなくて。
おっぱの掌が私の顔をぐっと押した。
おっぱの顔を見たくて必死にその手を退けようとするけど、両手を使ってもなかなか動かない。
一生懸命力を込めたら、やっと少しおっぱが見えた。
横を向いてるけど心なしかほっぺがピンク色な気がする。
私の顔を押さえていた手が少し緩んだと思ったら、こっちを向いたおっぱが私の鼻をぎゅっと摘んだ。
突然のことに咄嗟に目を瞑ったけど、呟かれた言葉は聞き逃さなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。