部屋で夕飯を食べながら先程聞いた内容を頭の中でリプレイする。
おっぱが今特別に宿舎を空けられるのは、お父さんが警察の偉い人と仲良しだかららしい。
実家が嫌で出てきたのに、結局親の世話になってるって苦笑してた。
私みたいな高校生にしたら、自分の信念を持って家を出たおっぱは十分すぎる位素敵なんだけど。
そういうと、おっぱは少し照れ臭そうに笑っていた。
そんなにおっぱが出たくなる実家って、どんなご家族なんだろう。
警察の偉い人と知り合いとか、ぼっちゃんだとか、やっぱりあんな高そうな車や服を持ってるから…めちゃくちゃお金持ちなのかな。
今まで一緒にアパートで暮らしてたおっぱを目の前にすると、なんだか全く想像がつかなかった。
そこがまだ気になるけど、
それよりも気になることがーーー
ご飯を噴き出したおっぱにティッシュを渡すと、お前のせいと言わんばかりに睨まれた。
お茶を一口飲んでからふぅと息を吐いて、また食べ始めるおっぱ。
これは、また無視かな?
なんて思ってたら、ちゃんと教えてくれた。
やっぱすごいおぼっちゃまなんだ…
疑惑が確信に変わる。
意味あり気に感想を言うと、なんだよって目で見られる。
私が目を見開いて
わーとかきゃーとか言ってると、早く食べろって怒られる。
今考えたら…おっぱはこんなにイケメンで、学生時代はきっとすんごいピカピカのおぼっちゃんで、絶対モテただろうな。
ていうか、お見合いとかしたなら絶対結婚までいくだろうに…
こんなに素敵な人がお見合い相手で現れたら、絶対みんな好きになるよね!?
今度は私がご飯を噴き出して、無言でティッシュを渡される。
と思ったら、しっかり反撃された。
どこまで人をおちょくれば気が済むんだろう?
私は残ってたご飯をかけこんで、速やかに箸を置いた。
大浴場に行くとのことで準備をしてる私を、後ろの方で
"まだ〜?"
と焦らせるおっぱ。
何故こんなに時間がかかってるかと言うと…
鞄の奥に入れている私の手には、今あの袋が握られているから。
どうする?私。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。