和室の横の襖を開けると、大きなベッドが2つ並んでいた。
ダブルじゃなくツインだったことに何故かがっかりしたり安堵したり…ちぐはぐな感情になる。
またソア達の言葉が出てきてしまい、急いで掻き消した。
奥にあるもう一つのドアを開けると、小さな廊下が続いている。
1番奥のドアを開けると、夕暮れの中で
"カポーン"
と音がしそうな露天風呂が待っていた。
こんなの目にする日がくるとは…
雰囲気たっぷりの露天風呂の奥には、夕陽に染まった海が見える。
私たちが話した海岸かな…
しばしその景色を楽しんだ後、急いでおっぱの元へと戻った。
仰向けに寝て目を瞑りながら怠そうに答えるおっぱの横にいき、身体を揺らした。
完全に馬鹿にしてる…
眉間に皺を寄せたおっぱが私を見た。
ぺろりと舌を出しておどけてみせると、チッと舌打ちが聞こえる。
ほんと態度悪いんだから…
だよね、絶対無視してくると思った。
でも私はめげない!
私が何聞いても答えない。
これは寝たフリしてるやつだよね。
こうなったら、私にだって考えがある。
目を瞑って寝たフリしてるおっぱの耳元で、吐息まじりにつぶやいた。
やっと目を開けてくれたおっぱ。
でも勿論その目は私をこれでもかという位睨んでいる。
しつこくやめない私の代わりに、おっぱの手が代わりに口を塞いだ。
肉厚の男の人の手が唇に当たる。
ドキドキもするんだけど、力が強すぎて苦しい…
こくこくと首を縦に振ると、やっと手が離れた。
ほっぺを膨らませると、めんどくさそうに起き上がったおっぱが私の両頬を手で掴んだ。
ぎゅっと力を入れられると、ぷっと音をだしながらほっぺが凹む。
そのままぎゅうと潰されて、変な顔になった私を見て楽しそうに笑った。
しばらくそのままにされてやっと手が外れると、おっぱがあぐらをかいて向き合ってきた。
首を大袈裟に傾けておっぱを下から覗き込む。
私がおちょくったつもりだったのに、やっぱりおっぱの方が一枚うわてだ。
しっかり私を見つめながらほっぺを優しくつねるこの人に、しっかり心臓を鷲掴みにされた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!