第31話

広い海と広い胸
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2021/03/11 10:00
水の届かない浜辺に2人並んで座る。

この季節だからか、砂浜には見える範囲でも2,3人しかいない。

しばらく海を見つめながらこの感動に浸っていた。

座る時におっぱから離れた手が風に当たって少しだけ冷たい。
Jk
あなた、
you
ん?
おっぱの方を見ると、真っ直ぐに海を見つめていた。

なんとなく、私も同じように視線を水平線に戻した。
Jk
あなたがコンビニの外でうずくまってた時……
おっぱがゆっくりと言葉を紡いでいく。

私は一言も聞き逃さないように、必死に耳を傾けた。
Jk
こいつを俺が助けたいって思った。
you
Jk
でも賭けだったんだ。
おっぱの言うことがわからなくて、海から目を離してその表情を伺う。
Jk
甘やかされてきた俺が、家を出て大したこともせずにやってきて。
本当にこんな自分でもこいつを守れるのか、って。
おっぱの気持ちが言葉に乗って、痛いくらい胸に刺さってくる。

でもそれは悲しいとか苦しいとかの感情じゃなくて、その正反対のもの。
Jk
でもあのあなたを見たら、勝手に体が動いてたよ。
やっとこちらを見て、照れたように笑うおっぱ。

その笑顔だけで、私の中で色んなものが込み上げてくる。

あの日私の手を取ってくれて、どれだけ救われたことか。

私がどれだけ感謝しているか…

おっぱにちゃんと伝わってる?

私は、ちゃんと伝えられてる?

鼻の奥がツーンとして、勝手に涙が溢れてくる。
もう自分では止められなかった。
Jk
それでさ、俺の人生では珍しく笑。
すぐ行動に移して、あなたのお父さんと話して。
最初はすごい怒られたけどなんとか説得して…
私の知らない話がどんどん出てくる。

おっぱがどれだけのことをしてくれたのか計り知れないけど、それが全部今の私の幸せに繋がっていることは事実。

この時にはもう私の肩は嗚咽で揺れていた。

おっぱと時間を共有するようになってから、私は確実に涙もろくなってる。
Jk
毎日あなたと過ごして、ちゃんと状況と向き合ってるの見て…俺もしっかりしなきゃダメだって思った。
you
グスッ…おっぱの、、家族のこと??
前に一度聞いた、おっぱの家族。

"あわない"人たちのことかな…?
Jk
俺のダメなところが目立つような人達だから…ずっと避けてたんだけど。
一昨日、会いに行ったよ。
あ…一昨日…

お兄さんの奥さんと歩いてるところを、私とソアが見た日だ。
Jk
あなたのこととか全部話して、認めてもらって…
もうぐしゃぐしゃの顔で鼻を啜りながら、居ても立ってもいられなくなって、私はおっぱに抱きついた。
you
おっぱ、良かったね…!!
家族、とっ…大事な家族と話せてっ、、、!
おっぱが優しく頭を撫でてくれる。
Jk
あなたのおかげだよ。
うわーんと声を上げて泣いたのは、このなんでも受け止めてくれる海とおっぱの広い胸があるからだと思う。

じゃなきゃ、こんな子供みたいなこと…しないもん。

落ち着いてくると、おっぱがまた口を開いた。
Jk
…ってのを、俺は昨日話せると思ったんだけど?
you
…、、
バイト先まで機嫌良く私を迎えに来てくれたのは、それだったんだ.…

今更ながら申し訳なくて、この酷い顔をあげられないまま小さくつぶやいた。
you
すいません…
おっぱの声のトーンが普段通りに戻ると、やっぱり意地悪なセリフが降ってくる。
Jk
鼻水つけないでね、
you
…つけませんっ!!
ばっと顔を上げると、
Jk
ひどい顔。
と言って笑われる。
you
やっぱり鼻水つけとけばよかった…
Jk
あ?なんだって?笑
2人でニヤッとしてから、私たちはようやく車に戻った。

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