夏。
蝉の声がとてつもなく五月蝿い。
学校の休み時間、後ろの席の女の子に言った。
─帰り道
暑くて何も考えたくない中、あることを考えていた。
''オレンジの女の子'' ちゃんが告白に失敗したこと。
私は…
─嬉しくて仕方なかった。
あの男に取られるかもしれないと考えると嫌で嫌で仕方なかった。最悪 ''オレンジの女の子'' を私の部屋に監禁しようかと考えていた。
でも、良かった。
おかえり、私だけの ''オレンジの女の子'' ちゃん。
私が嬉しさを抑えきれず笑った。
それに気付いた ''オレンジの女の子'' ちゃんが「どうしたの?」と聞いてきたが、何にもないよ、と答えておいた。
もうすぐ夏休み、どんな楽しいことをしようかな。
そんな暑くて汗が滴るなか、私は早くもアイスを食べ終えてしまった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!