IZ*ONEとしてデビューをして二年、ミンジュと付き合って一年。
今日はちょうど一年記念日で、休みだし朝から二人でデートへ行こうと約束してたはず。
私は咲良と同室だから朝咲良に起こしてもらうことが多いんだけど...なぜだか今日は起こしてくれなかった。
フラフラしつつリビングへ行くとニヤニヤしながらミンジュが怒ってたよって教えてくれて、ここに探しに来たって訳。
同い年のウンビはよくここのメンバーをしっかり見てるからミンジュがどこに消えたのかも見てるかなって思ったのに...
一つずつドア開けてくしかなさそうだな、これは。
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という訳で。三つの部屋を探検して最終的に到着したこの扉。
ユジン曰く、私が彼女に何かをしてしまったようで、カンカンに怒らせてしまっているらしい。
そんな私が突然入った所で何しに来たんですかなんて冷たい声で言われて押し出されるのが目に見えてる。
まずは刺激しないように、落ち着いてその扉を3回ノックして。
...返事がない。いやまぁいつもの事だけど。
仕方ない...入るか。
部屋の扉を開けて一番に視界に飛び込んできたのは、多分私の鞄を抱えているであろうミンジュ。
モコモコの掛け布団に包まっていて、なんだか白熊のようにも思える彼女。
その掛け布団の端からは明らかに私の鞄の肩紐が姿を見せていて。
拗ねに拗ねまくったミンジュは手の付けようがない。
普段我慢してる分、一度拗ねてしまうと機嫌をとるのにかなり時間がかかる。
それはメンバー共通認識で、私もよく分かってることだった。
だからこそ、私にしかできない機嫌の取り方がある。
私と話し始めてからもずっと背を向けている彼女に、嫌いと言われて傷付かないはずがない。
とは言え、私も彼女に寂しさを与えてしまったことは反省するべき。
となれば、一度与えてしまったその寂しさを埋めてあげることこそ、今私がすべきことでしょ?
少し分厚い掛け布団ごと、後ろから抱き締める。
軽い力だとすり抜けられてしまうから、思い切り。
きっと彼女が動けないと騒ぎ出すだろうけど、それでも譲らずに布団越しでも分かる彼女の体温を感情と力を込めて。
"オンニの顔見れない"
そんな可愛い事を言われてしまえば私だってその膨れた顔を見たくなってしまって。
力を緩めて、腕を解いてあげればのそのそと布団ごと反転して向かい合う白熊ミンジュ。
未だにじとっとした目で見てくるのに、突然その目に涙が溢れて。
拭き取ろうと急いで袖を当てると飛び込んでくる掛け布団ミンジュ。
どうにか肘を着いたものの、私の今の体制は割と厳しい。
布団越しにも鞄を抱えていることは一目瞭然で、ミンジュと私の間に鞄が挟まれてちょっと痛い。
いつものようにしっかりしたミンジュじゃなくて、少し頬を膨らませて見上げてくるミンジュにやられて。
準備なんて後でもいっか
そんな思考に落ち着いて、彼女の言う通りにその状態を維持しようと少し体制を戻そうとすると
思ったよりミンジュが重心を預けてくれていたのか、二人してベッドにボスン。
お腹に鼻をぶつけたのか、痛い...なんて苦笑いしながら鼻をさするミンジュも可愛くて。
無意識に顔を寄せてしまうと悪戯心が働いたのか唇同士が触れて。
無邪気に笑って嬉しそうにしている私の彼女は、今日は一段と手強いかもしれない。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。