第25話

かくれんぼ
2,809
2022/01/10 21:40
あなた
やぁ...ミンジュや、どこに隠れてるの?
ウンビ
ウンビ
また居ないの?
あなた
いないってか...鞄持ってかれた
ウンビ
ウンビ
なんで...笑
あなた
鞄の目撃情報求む
ウンビ
ウンビ
ないよ、ていうかミンジュがそんなことするのも久しぶりでしょ
ウンビ
ウンビ
最近上手くやってると思ったのに、なんかやらかしたの?
あなた
全然身に覚えないけどね








IZ*ONEとしてデビューをして二年、ミンジュと付き合って一年。




今日はちょうど一年記念日で、休みだし朝から二人でデートへ行こうと約束してたはず。




私は咲良と同室だから朝咲良に起こしてもらうことが多いんだけど...なぜだか今日は起こしてくれなかった。




フラフラしつつリビングへ行くとニヤニヤしながらミンジュが怒ってたよって教えてくれて、ここに探しに来たって訳。




同い年のウンビはよくここのメンバーをしっかり見てるからミンジュがどこに消えたのかも見てるかなって思ったのに...




一つずつドア開けてくしかなさそうだな、これは。




あなた
失礼。ここにミンジュきた?
チェウォン
チェウォン
来てませんよ〜
イェナ
イェナ
また怒らせたんですか〜?笑
あなた
いや、今回はほんとに分かんない笑
チェウォン
チェウォン
ユジンかへウォンオンニの所じゃないですか?
あなた
ん〜、ありがと








.








あなた
失礼。ここにミンジュきた?
へウォン
へウォン
ついさっき出てったばっかりです
あなた
えぇ...ミンジュの部屋どこ?
へウォン
へウォン
ユジンの部屋の隣です
あなた
ユジンの部屋って?
へウォン
へウォン
ミンジュの部屋の隣です
あなた
......いや分からんのよ、両方笑
へウォン
へウォン
突き当たりのどっちかがミンジュの部屋で、どっちかがユジンの部屋ですよ
あなた
...まぁいいや。ありがと
へウォン
へウォン
あんまりミンジュのこといじめないであげてくださいね
あなた
いじめてるつもりないけど...笑








.








あなた
しつれ...あぁ、こっちユジンの部屋か
ユジン
ユジン
あぁってなんですかあぁって。私の部屋でなんか不都合でも?笑
あなた
いやいや、まさかそんなこと
ユジン
ユジン
またミンジュオンニの事怒らせましたね?プンプンでしたよ?笑
あなた
え...マジで私何したの?
ユジン
ユジン
私に聞かないでくださいよ笑 早く行ってあげてください
あなた
ん...ありがと








.








という訳で。三つの部屋を探検して最終的に到着したこの扉。




ユジン曰く、私が彼女に何かをしてしまったようで、カンカンに怒らせてしまっているらしい。




そんな私が突然入った所で何しに来たんですかなんて冷たい声で言われて押し出されるのが目に見えてる。




まずは刺激しないように、落ち着いてその扉を3回ノックして。




...返事がない。いやまぁいつもの事だけど。




仕方ない...入るか。








あなた
ミンジュ...?入るよ?
ミンジュ
ミンジュ
......何ですか








部屋の扉を開けて一番に視界に飛び込んできたのは、多分私の鞄を抱えているであろうミンジュ。




モコモコの掛け布団に包まっていて、なんだか白熊のようにも思える彼女。




その掛け布団の端からは明らかに私の鞄の肩紐が姿を見せていて。








あなた
なんですかって...鞄。私の持ってるでしょ?
ミンジュ
ミンジュ
持ってません
あなた
持ってない...?じゃあその掛け布団の隙間から見えてる肩掛けの紐は何?
ミンジュ
ミンジュ
...私の鞄です
あなた
...ねぇ、私何かした?なんでそんなに怒ってるの?
ミンジュ
ミンジュ
...今日、朝一でデートって言ったのに。
あなた
うん...?準備する為に、鞄取りに来たんだけど...
ミンジュ
ミンジュ
私が起こしても...起きなかった...
あなた
...それだけ?笑
ミンジュ
ミンジュ
それだけって...私は凄い楽しみにしてたのに、オンニはそんなでもないんですか?
あなた
まさか。久しぶりに二人きりで出掛けるんだから楽しみに決まってるでしょ?
ミンジュ
ミンジュ
じゃあなんで起きてくれなかったんですか...何度もぎゅーだってしたのに...
あなた
いや、昨日のジムが辛すぎて疲れ果ててたんだよ...
ミンジュ
ミンジュ
...オンニなんて嫌い。ギューしてもチューしても起きてくれないオンニなんか嫌い
あなた
...ごめんだけど、私はミンジュのこと好きだな
ミンジュ
ミンジュ
......っ?!な、何して...//
あなた
こうでもしないと機嫌直してくれなさそうだもん。
ミンジュ
ミンジュ
...ね、オンニ、動けない......
あなた
知らない。嫌いって言ったから悪い。
ミンジュ
ミンジュ
ん〜......ねぇっ、ほんとにっ...やだっ...
あなた
嫌なの?
ミンジュ
ミンジュ
っ...やじゃない、けど...オンニの顔見れない......
あなた
...ほら、私の事好きじゃん








拗ねに拗ねまくったミンジュは手の付けようがない。




普段我慢してる分、一度拗ねてしまうと機嫌をとるのにかなり時間がかかる。




それはメンバー共通認識で、私もよく分かってることだった。




だからこそ、私にしかできない機嫌の取り方がある。




私と話し始めてからもずっと背を向けている彼女に、嫌いと言われて傷付かないはずがない。




とは言え、私も彼女に寂しさを与えてしまったことは反省するべき。




となれば、一度与えてしまったその寂しさを埋めてあげることこそ、今私がすべきことでしょ?




少し分厚い掛け布団ごと、後ろから抱き締める。




軽い力だとすり抜けられてしまうから、思い切り。




きっと彼女が動けないと騒ぎ出すだろうけど、それでも譲らずに布団越しでも分かる彼女の体温を感情と力を込めて。




"オンニの顔見れない"




そんな可愛い事を言われてしまえば私だってその膨れた顔を見たくなってしまって。




力を緩めて、腕を解いてあげればのそのそと布団ごと反転して向かい合う白熊ミンジュ。




未だにじとっとした目で見てくるのに、突然その目に涙が溢れて。




拭き取ろうと急いで袖を当てると飛び込んでくる掛け布団ミンジュ。




どうにか肘を着いたものの、私の今の体制は割と厳しい。




布団越しにも鞄を抱えていることは一目瞭然で、ミンジュと私の間に鞄が挟まれてちょっと痛い。




ミンジュ
ミンジュ
オンニ...大好き、嫌いなんて言って...ごめんなさい......
あなた
ん...私も、ごめんね?ちゃんとアラームかけとくべきだったね
ミンジュ
ミンジュ
ううん、オンニの行ってるジム大変って知ってるのに...
あなた
...とりあえず、私の上から降りれる?準備しないと...
ミンジュ
ミンジュ
いや。もうちょっとこの状態がいい...




いつものようにしっかりしたミンジュじゃなくて、少し頬を膨らませて見上げてくるミンジュにやられて。




準備なんて後でもいっか




そんな思考に落ち着いて、彼女の言う通りにその状態を維持しようと少し体制を戻そうとすると




思ったよりミンジュが重心を預けてくれていたのか、二人してベッドにボスン。




お腹に鼻をぶつけたのか、痛い...なんて苦笑いしながら鼻をさするミンジュも可愛くて。




無意識に顔を寄せてしまうと悪戯心が働いたのか唇同士が触れて。




無邪気に笑って嬉しそうにしている私の彼女は、今日は一段と手強いかもしれない。











































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