"あけましておめでとーーーーーーー!"
"Happy new year!!!"
私の手にある画面には、そんな言葉が飛び交っている。
IZ*ONEが解散して約八ヶ月。去年は騒がしいパーティーをして迎えた年越し。
今年の年越しは一人寂しく家の中。ベッドの中で、額を冷やしながら迎えた正月。
額を冷やしながら。そう、正月早々熱を出して寝込んでる私。
ミンジュ、ユジン、ウォニョンはMBC歌謡祭で集まれなくて、その三人以外のメンバーで集まって過ごしているらしい。
当然、昨日までは私もそこへ行く予定だった。
今朝、身体のあまりのだるさに異変を感じて体温を計ってみれば38.5°C。
このご時世だし、最近新しい株も発見されたらしいから迂闊に外に出れない。
私はこの年始にソロデビューも控えてるから、余計に。
...寂しいなぁ…
ピンポーン
...こんな夜中に?誰...?
メンバー達はウンビオンニの家で楽しそうにしてる写真を送ってくれるから、メンバーじゃないことは明らか。
なんならボイスメッセージも来るから絶対有り得ない。
家族は昔から正月にそこまで興味持ってないし、すぐ寝ちゃうタイプだからメンバーよりも有り得ない。
友達...?いや可能性ある。誰よりも私の都合を考えない奴らだもん。
...誰であっても開けられない。熱出てるし、移したら向こうにも迷惑がかかっちゃうし。
とりあえず玄関の向こうにいる人が帰るまで見張っておこうか...
そう思って、ふらふらする頭と身体をどうにか支えながら玄関へ。
玄関の中心にある覗き窓から様子を伺うと、目の前にいたのは黒い帽子に白マスク、サングラスといった不審者の3大特徴を兼ね揃えた人。
こっ......こわぁ....
とりあえずその人の次の行動を伺っていると、突然携帯を取り出してどこかへメールを打ち始めた様子。
怖すぎ...部屋間違えてない?隣の部屋の人とかじゃないの?
咳が止まらない中、どうにか重たい体を支えていると。突然右手にある携帯が震えた。
"チェウォン:ドア、開けてください"
............えこれチェウォンなの!?
チェウォンに肩を借りながら、ついさっきまで寝ていたベッドへ戻って。
久々のチェウォンはすごくいい香りがして、前よりもぐっと女性の魅力があった気がする。
肩も華奢になったし、前より肌も綺麗になったし。
手つき...というか、支え方?にもチェウォンながらの優しさが溢れ出ていて、ついさっきまでの寂しさが突然満たされていく感覚。
凄いなぁ...
わざわざ私が体を横にする時まで手伝ってくれて、掛け布団までかけてくれて。
額の冷却シートを取り換えてくれて、空気清浄機の水の入れ替えも加湿器の水の継ぎ足しも全部やってくれて。
今朝から洗えていなかった食器も全部やってくれた。
私がベッドへ落ち着くと、机の前にあった椅子をわざわざベッドの隣まで持ってきて座ってる。
一段落着いて鞄を足元に置くと、なんだか心配そうに前髪を目にかからないように避けてくれて。
...なんか、彼女みたい笑
突然、ムスッとした顔で褒め出す彼女。表情と発言が一致してないことに笑ってしまうと、綺麗なその目で睨まれてしまって。
ついさっきまであんなに顔を赤くしてやけくそ気味に可愛くなっちゃダメですか!?なんて言ってたのに、今じゃこんなに強気。
それすら可愛く思えちゃうんだから、ほんとこの子は可愛い笑
突然乾いた笑いをしたかと思ったら、急にディスってくるそれすらもまた可愛くて、なんだかムズムズしてくる。
そう言うと、急に改まって姿勢を整えたチェウォン。
なんだか言い出しづらそうにしてるし、視線は明後日の方向向いてるし唇と手は震えてるし...え、なんか大事?
大丈夫?と声をかけてもちょっと待ってください...と消え入りそうな声が帰ってくるだけ。
とりあえず待ってみる...か?
そう思って気長に待とうと決めた途端、彼女が立ち上がって一言言った。
...チェウォンの知り合いにあなたって人いたっ...けか......?
いや...私...なのか...ほんとに...?
私が言葉を濁して聞くと、一言で伝わったのか小さくこくんと頷いて。
思わぬ展開について行かない頭の中で、一つだけ浮かんできた言葉が
"いいよ"
これを言うべきか言わないべきか...彼女を泣き止ませるには、どうすべきか。
意外と熱を出した頭でも突然過ぎる出来事には対応出来るようで、私の頭は既に答えを出していたらしく。
私が言おう、と決めたその時にはもう口から言葉が飛出ていた。
なんだか自分でも訳が分からなくなって、出処の分からない恥ずかしさから超早口で言い訳してる自分かいた。
目の前の子はなんだか下を向いてるし、私は私で恥ずかしさをかき消すように超早口で喋ってるし。
早口で喋ってるのに1度も咳が出ないんだから、焦りというのは熱に効くのか?なんて阿呆でも考えないようなことを考え出して。
弁明を繰り返しているうちに、突然立っていたそこから掛け布団越しに私の腰へ飛び込んできては、下からその可愛らしい潤んだ目を向けてくる。
理性が飛ぶのも時間の問題だなこれは...
あまりの距離感に心臓が鼓動を早めてしまって。
鼓動が早くなると同時に咳き込む速度もあがってきて、このままでは移してしまうと距離を取ろうとする。
とは言え熱で弱ってる病人が出せる力なんてのはたかが知れていて。
軽く押し返したはずなのに私の力とは反対方向に動くチェウォンの身体。
ふと触れたその温かいものは、すぐに離れたのに私の唇へ温もりを残したままで。
その温もりが広がるように顔全体に熱が広がって、余計に熱が上がった気がして。
熱が上がって、私を甘くなった香りと雰囲気が包んで、一瞬目眩がした。
ふらっとした私を支えたその手は、相変わらず温かくて。
私が熱を出してるからそう感じるだけなのか、彼女が熱くなってるからそう感じるだけなのか。
彼女の顔を見れば一目瞭然だった。
相変わらず可愛らしくていじらしすぎる妹...彼女を腕の中に閉じ込めて。
上手く力の入らない腕で思い切り抱き締めると、騒がしかった彼女はだんまり。
かわりに私が触れる全ての箇所がびっくりするくらい熱くなって、人間カイロかと思うくらい顔は真っ赤。
今年一年は素晴らしい1年になるだろうな...笑
勢いで書いたので完成度はクソです!どうも!
あけましておめでとうございます!!!!!!
今年もしっかりみんなでIZ*ONEを恋しがってそれぞれの活動を見守っていきましょう!!!!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!