第6話

492
2021/12/20 10:43
ー教室ーガラッ
夏油傑
おは…
家入祥子
おい、夏油。サトコ泣かすなよ~。
女連れ込んだって、マジか?
五条悟
ヒドくない?
夏油傑
・・・開口一番になんだよ。
家入祥子
寮でヤるとか、お前沸いてんの?
隣サトコじゃん。他行ってヤれよ。
夏油傑
ハー。ここではしてないよ。
部屋も寄らずに帰ったさ。
だし、サトコ、ジャマすんなよ。
彼女引いてたから。タク
五条悟
そんなん知らねーじゃん。
フツーに帰ってきただけだし。
オレ悪くねーよな?
家入祥子
で?どんなタイプよ?
五条悟
んー。まぁ、キレイ系じゃね?
どストライクだろ?なっ?傑。
巻き髪で、セーラー服って、良くあんじゃん?
エロビの学園モノ。そんなタイプ。ハハッ
夏油傑
悟、マジで外でろ。
家入祥子
ハハッへー。夏油、写メは?
夏油傑
ないよ。悪いが、あっても見せたくないね。
悟に見られたのすら、嫌だったよ。本当に。
五条悟
あ“?なんでだよ。
夏油傑
私と悟は、違うってことさ。察しろよ。アホ
そぅ。私と悟は違うんだ。
もしかしたら、悟に置いていかれたというより
私も、その道の最強で在りたかったのかも知れないな。
傑に何が起こる・・・



ー電話ー
あなた

ね?前言ってた旅行。前倒しで
学校休んで出掛けない?1週間くらい。フフッ

夏油傑
休むのは良くないね。1週間?どこいくの?
近場でって、言っただろ?
あなた

ハハッそうだった?

私の目に入る人達のイヤな場面の切抜きが
フィルム映画みたいに視えてしまう。
その光景がはっきりと。

視えるうちは家業に専念しなさいと告げられているようで
とてもイヤだった。

どれも良くない事ばかり。
視ようとせずとも。
考えないようにしても。
黙っていても。

それが私の持つ力だった。


夏油傑
出張があるんだ。ゆっくりできるのは
しばらく先だよ。すまないね。
あなた

私がど〜してもって言っても?

夏油傑
どーしたんだい。らしくないんじゃない?
そんな甘えた事言わないのに・・・
あなた

ど〜〜してもって言っても、ダメ?
誰か他の人に任務変わってもらえない?
悟くんとか、

夏油傑
あなた、いいかげんにしてくれ。
困らせないでくれよ。
何かあったのか?
あなた

ハッ、…ごめん。わがままだ。ね。

傑を、任務に行かせたくない一心だった。
夏油傑
…フフッ任務が落ち着いたら、
ゆっくり二人で過ごそうな。
いい宿決めておいてくれよ。
私の予知は的中する。

その事件が起きた日の朝
傑から行ってくるのメールが来た。

返信したメールも、既読にもならない。
お昼休みにも電話した。けど出なかった。
胸騒ぎがして
高専に電話して悟くんを、とも思った。

傑の生気のない冷酷な表情。
むごい情況、凄惨な現場が視えた。

視えないふりをしてきた。

DV男に蹴られたり殴られたりしても
私が見捨てた人達の、浄罪になるなら
それで良かった。

それを止める事も正す事もできないけど

傑を助けたかった。


彼との連絡は途絶えた。
ー3ヶ月後ー


私が下校する頃。
校門前に背の高い男の人がいると騒いでる人がいた。
彼氏が車でお迎えはあっても、身一つで立ってたら
女子校だし、不審がられても無理ない。

背が高い…
もしかしたら・・・まさかね。
あなた

タタタタッ。キョロキョロ

帰ろうとする傑の後ろ姿があった。
私があげた、セーターを着て。
あなた

…ウルッ
傑っ。

夏油傑
…フフッ(振り返る)久しいね。
3ヶ月が1年にも2年にも、とても長く感じた。
少し痩せた傑がいる。
本当に存在しているのか不安になった。
彼に駆け寄り、腕を掴んだ。
あなた

…傑。何で?

夏油傑
フフッ、さっき、
モデルさんですか?って聞かれちゃった。
…まだイケてるかな?
あなた

…フフッ。
……どーかな?
不審者の聞き間違いじゃない?

夏油傑
ハハハそっか、不審者か。
・・・ー
怒ってるかい?
あなた

……なんて言って欲しい?

夏油傑
ハハッ。それ、一番怖いなぁ。
あなた

・・・電話に出ない
メールも既読にならないのに
学校には来れるの?
どう言う風の吹き回し?

夏油傑
フフッ。そーだな。…気まぐれ、かな。
あなた

‥うそつき。ポロ

夏油傑
・・・会いたかったんだ。
駅に向かって歩く。隣に並んで。
これからの予定を聞かれ、無い事を伝えると
夏油傑
付いてきてほしい所がある。
そう言って先を歩く。
最寄駅に降り立ち、どこへ向かっているのか分からない。
けど、ずっと歩いていたい気分だった。
夏油傑
…高専。やめたんだ。
あなた

…ん、そっか…

夏油傑
驚かないの?
あなた

フフッ。驚いてるよ。

夏油傑
フフッ。そうか。
案内されたところは、マンション。
あなた

ここ?

夏油傑
あぁ。ここだ。
チャイムを押すと、中から子供の声がした。
菜々子
はーい
夏油傑
私だよ。開けてくれ。
カチャ

小さな女の子が二人。
あなた

・・・え

夏油傑
どうぞ。
美々子、菜々子、リビングにおいで。
ここが、傑の家、なの?
夏油傑
こちらはあなたさん。
私の大事な人だよ。さ、ごあいさつして。
菜々子
こんにちは、菜々子です。
美々子
美々子です。
あなた

ハハッ。こんにちは〜。かわいい

夏油傑
ん。ミミナナ?
人前でコソコソ話はダメだろ?どうしたの?
菜々子
え、あなたさんの
セーラー服かわいいねって、言ってたの。
ねっ。
美々子
夏油さん、私達もセーラー服着れる?
夏油傑
ハハハ、そうだな。ミミナナが高校生になったら
あなたさんと同じ学校へ行けば着れるよ。
ま、それには勉強頑張らないとね。フフッ
菜々子
えー勉強きらいー。
やだなー
夏油傑
じゃ、セーラー服はムリだなハハハ
部屋に戻って宿題やろうか。
美々子もね。
終わったら、ケーキもあるよ。
菜々子
うん。あたしはセーラー服着る。
ケーキだって〜!早くやろー タタタタッ
美々子
あ、あたしもータタタタッ
あなた

フフフ。かわいいね。
・・・隠し子?

夏油傑
ハハハ。まさか。
・・・私が保護したんだ。術師だよ。
ある村で軟禁されていた。
ヒドイ光景だったんだ。
あ、何か飲む?キッチン行こうか。
冷酷な顔の傑は、どこにも居ない。
穏やかで温かい。

しかし広いリビングだなぁ…キョロキョロ
壁にミミナナちゃんが描いたのかな?
傑がモデルかな?スーパーロン毛だ。フフッ
絵が貼ってある。


ーキッチンー
あなた

素敵なマンションだね。お家賃高そう〜フフッ

夏油傑
ハハハ、まぁ、少々ね。住人が増えたから。
彼女等が大きくなっても
不足の無いようにと思って。
紅茶入れたよ。私の前に置く。
彼はシンクに寄りかかり、紅茶を飲みながら
話し始めた。
夏油傑
ミミナナは責任を持って
私が育てる事にしたんだ。
あなた

・・・そぅ。

夏油傑
…驚かないの?
あなた

ん?…驚いてる。
びっくりし過ぎて言葉にならないよ。

夏油傑
フフッ。そうか。
・・・あなたはウソが下手だね。ハハッ
あなた

…え?

夏油傑
私が、何も気付いてないとでも思ってる?
夏油傑
…キミは、未来が視えるのかな。
助けたい人には、連絡していただろ?
あなた

・・・ー

夏油傑
灰原の時もだ。
最終的には灰原本人に連絡したね?
行かないでって。
灰原はね、その忠告を
私があなたと喧嘩したと勘違いして
直ぐに連絡をくれたよ。
あなたさんを、泣かさないで下さいって。ハハッ
灰原らしいちゃ、らしいけどさ。
夏油傑
違うかい?
あなた

・・・(首を振る)

鋭い目で私を見つめているが
口調が優しい。
黙っていた事を怒っているんじゃない。
夏油傑
これでもね、
あなたの事は知り得てるつもりだ。
私にその力の話をしないって事は
余程辛い思いがあったんだろうね。
夏油傑
まぁ、いい。
あの日。あなたからの連絡を
シャットアウトしたのは、1%でも
自分の気持ちがブレれてしまうのを
恐れての事だよ。
正気になるにも直後じゃ、早すぎた。
夏油傑
あなたからの電話を貰った時は既に、
…村人を全て殺めた後だったよ。
あなた

ポロポロポロ そぅ。

夏油傑
…私を
…キライになっただろ?

プリ小説オーディオドラマ