第13話

拾参
398
2022/01/07 12:46
そんな気持ちとは裏腹に
傑と旅行に出る日は、前の日から楽しみで
ワクワクした。
どこに行くか、何を食べるか、そんな話で盛り上がり
菜々子
いーなー。あなたさん、ズルいー!
あなた

ハハハごめんね〜。
3日間だけ、夏油さんを貸してください。ペコッ

美々子
結婚しに行くの?
夏油傑
ハハッあ、いーねー。
あなた、そうしようか?
あなた

///ちょっとー

夏油傑
ん?なんだよ?
あなた

え?もー///冗談やめてっ///

菜々子
あなたさん、赤くなってるー!
あなた

ち、ちょっと、菜々子ちゃんっ///

夏油傑
いない間は須田さんの言う事聞くんだよ。
いいかい?
菜々子
うん!お土産まってまーす。
美々子
おーみやげっ、おーみやげっ!
彼に自分の気持ちと、これからの事を
正直に伝える事にした。
沖縄についてからは、行きたかった所、
食べたかったモノ、計画通りで
あっという間に1日が終わる。

気持ちが、学生時代に戻っていたかもしれない。
無邪気に笑うあなたがいた。
私もきっとそうだった。




ー2日目ー


最終日は海でのんびり過ごす。
そういえば、悟とも任務で来たっけ。
同じ様に、こうして海を眺めていたよな。

ビーチチェアを並べて、
サングラスで太陽を浴びる。
夏油傑
本土は寒いのに、水着で海眺めれるって
不思議だな。ホントに日本なのか?
あなた

ねー。そう思う。
フフッ傑の海パン、グラサン姿
恐ろしく似合わない〜ハハハ不思議だな〜

夏油傑
ハハハ、そこを不思議がるなよ。
あなたもビキニなら、Tシャツ脱ぎなよ。
あなた

イヤだーハハハ。
傑だって、アロハ着てるじゃんっ。

夏油傑
ハハハ・・・
二人とも仰向けで空を仰ぐ。
静かに、波の音が響いている。
夏油傑
・・・あなた?
もう、そろそろ話したら?
あなた

・・・え。

夏油傑
隠し事。ここなら話せるだろ?
家じゃ現実的で言いにくいだろうから。
・・・私も思う所がある。
あなた

・・・フフッそっか。・・・ヘヘヘそっかぁ。
バレてたか・・・そっか。・・ウルッ 
あのね、傑。
私、もぅ・・・疲れちゃった。

夏油傑
…つらいか?私といると。
あなた

・・・ん。

夏油傑
そっか。
あなた

ハハハ、・・・ものすごく辛いよ〜?苦しくて
死んじゃいそう… ウルッ

顔を見ずに話せるから本音が言える。
傑が、話しやすい環境にしてくれたから。
どこまでも、優しくて
胸が痛い。
あなた

事故に合わなかったら…ポロ 
ハハッま、しょうがないか。 ポロ
・・・もぅ、傑の側に居られないよ・・・

夏油傑
うーん・・・
私は、あなたと居たいと思ってるよ。
あなた

…ううん(首を振る)
いつか、私がじゃまになる。
毛嫌いしている人種を側に置くなんて、
本末転倒じゃない…
そして私も傑のしている事を否定する。
きっと。

夏油傑
…今それが判っているなら、お互い
擦り合わせてプラスの方へ向かえないか?
あなた

フフッ。それができたら、前から話してた。
それに、傑の掲げる信念や大義は?
私がいる事で…嘘になるんだよ?ポロ

夏油傑
ハハ…そうだよな。
だが、何とかするさ。手段はいくつかある。
あなた

…なんで、私と居れるの?
もう、立場が違う。傑の隣にいれないよ。

夏油傑
猿は…非術師は嫌いだよ。今も、この先も。
でも、あなたは違うんだ。
自分でも分かってる。矛盾してるのは。
この世界にいる以上、掟は破れないもんな。
私が決めた事だからね。

私といると、苦しくて辛いと言った。
隣に居れないとも言った。
あなたは、あの時の私みたいだな…
悟のあの表情がどんな気持ちだったのかを
感じ取れた気がした。
あなた

皆を裏切ることになるでしょ?
悪い人~フフッ ポロ 

あなた

周りの人は傑を信じて
付いて来てくれたんでしょ?
皆に支えられているんだよ。
傑は守ってあげないと。ね? ポロポロ

夏油傑
・・・泣いているのか?
あなた

グスッ。ヘヘヘサングラス越しだから〜フフッ
う〜。勝手に出てくるー。ポロポロポロ

別れずに済む方法を考えた。
手段はいくつかあるなんて言ったが、最終的にどれも
あなたを苦しめる事になる。
でも遅かれ早かれ、その時は来るんだよな。

選択ができない。
一択しかないんだよな。
あなた

・・好きなのに、苦しいよ・・・しんどいの。

あなた

傑、もう・・・終わろ ポロポロポロ

声を出さず静かに涙するあなたを
抱きしめたかった。
でも、できなかったんだ。
手を伸ばし抱きしめたら
また、同じ事の繰り返しだ。

これからも進まなければならないんだ。私は。
割り切れなかったが
割り切るしかなかった。
夏油傑
・・・終わる、か・・・
出て行くタイミングはあなたに委ねるよ。
夏油傑
…すまないと思ってる。
あなた

ん。……グスッ。
ヘヘもしかしたら視えてても
サヨナラしたかもなぁ〜フフッ

夏油傑
ん?なんで?
あなた

フフッ。須田さんに嫉妬してハハハ ポロ
意外とヤキモチ焼きだから。
知らなかったでしょ?
色気のある年上なんて、どー頑張っても
負けるに決まってるもん。

夏油傑
フフフ、あなたがそんな事言うなんて
意外だな。ハハッ
そしたら男の秘書にするかな?
あなた

ウソだぁ…

夏油傑
フフフ…ウソだなハハハ
あなたはね、キレイだよ。
あなた

フフフ。またまたぁ…
実は、須田さんに手を出した?

夏油傑
私をそんな風に見てたのかよ?
あなた

ううん。ヘヘヘちょっとイヤミ。

夏油傑
ずいぶんだね。ハハハ
あなた

ハハハ・・・ね?
傑は、本気で結婚を考えてくれていたの?

夏油傑
ハハハ今それ聞く?
私がウソつけない事知っててさ。
あなた

今だから、聞けるんだよ。
最後にウソ付くかもしれないしネ。フフッ

夏油傑
疑うなよハハハ、大真面目だよ。
キミの返事は聞けなかったけど?
あなた

…ホントはいつでも、YESだった。
でも、現実には言えなかったなぁ。
結婚してたら、もっと辛いと思う。

夏油傑
でも分かんないよ?
私は夏油あなたにしたかったなー。
意地でもさ。
あなた

意地?フフッ・・・ハハハ 怖いよぉ。
フフフ。・・なーんか、
久々に傑とゆっくり話せて…嬉しいなぁ。
学生時代に戻ったみたいーポロポロ

夏油傑
ハハハ そうだな。
ゆっくり話す事は久しくなかったからね。
でも、今は
…少なくとも前向きな内容じゃないだろ?
どうにかあなたの意志を壊せる策がないかと
悩んでる所だよハハハ
あなた

ハハハ意志固いよ〜?私。
…嘘ついたまま…傑とは付き合えないもん。

夏油傑
そうか・・・
キミが辛い思いをするだけだからね。
話している間、傑とのいろんな場面が溢れ出し蘇ってくる。
その度に想いや涙がこみ上げてくる。

どの日も、全部笑ってたね。
毎日が楽しくて嬉しくて。それが全てだったよね?
あなたはいつも優しかった。

私を愛してくれて、私も愛してた。
昔も今も、この先も、ずっと。
あなた

・・・楽しかったよね?学生時代。ポロ
傑と出会ってから、ずっと楽しかったもん。
・・・あの頃に戻りたいな ポロポロポロ

夏油傑
あぁ、…楽しかったよ。
…キミがいた毎日は、楽しかったな。
夏油傑
Xmasの時さ、
もっと早くに気持ちを伝えてたら、もう少し
長く付き合えてたな。ハハハ
あれは私が慎重すぎたよ。フフッ
あなた

フフフ、そうだったね。 ウルッ

覚えていてくれる。
あの時、抱きしめてくれたよね。
夏油傑
・・・今でも、キミを愛しているよ。
変わらない。
これからも・・・ずっとさ。
その言葉で、ダメだった。
私が言葉にできずにいた気持ちを…
傑も、そう想ってくれていたんだね。
あなた

ポロポロ かっこいいこと ポロ 
言わないでよー ポロポロ
ヘヘヘ グスッ ポロ 涙腺崩壊する〜・・

夏油傑
…あなた、側にいてくれないか?
あなた

グスッ・・・ありがとう ポロポロポロ
私は・・・幸せ者だね。 ウウッ…ポロポロポロポロポロ

そのありがとうは、同意ではない事は分かってる。
できやしない事と分かっていても言いたくなるんだ。
キミの名前を、呼べなくなると思うと辛い。
・・・だが、もぅこれまでだな。
夏油傑
……フッ …声だして、泣けよ。
全部夢だったらいいのにね。

眩しい青い空と海に囲まれ
あなたは少しだけ声を出して泣き
また、傑もゆっくり目を閉じる、涙が伝った。

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